google+
はてなブックマーク
LINE
  • Medister
  • コラム
  • 書評
  • 医療系企業・特集
がん治療.com おすすめコンテンツ
心理状態の遷移
告知をされてから、がん患者の心理はどのように遷移するのか?
ストレス解消法
がん治療は大きなストレスとなりますが、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
医師との付き合い方
がん治療するうえで、医師と上手に付き合っていくには?
  • がん治療.com コンテンツ一覧
  • がん治療.com 用語集

更新日:2026/08/23

2026年8月から高額療養費制度が見直し——「年間上限」新設でがんの長期療養はどう変わるか

厚生労働省は2026年8月(令和8年8月)診療分から、高額療養費制度の自己負担限度額を見直しました。今回の改正は、令和7年(2025年)12月に「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(患者団体・保険者・労使団体の委員が参画し計9回にわたって議論)がまとめた基本的な考え方をもとにしたものです。最大の変更点は「年間上限」の新設であり、毎月の上限には届かないながらも治療が長引くがん患者・家族にとって特に影響が大きい内容です※1。

発表のポイント

• 2026年8月診療分から月ごとの自己負担限度額が見直され(中〜高所得区分で引き上げ)、同時に「年間上限」が新設された※1
• 長期療養者に関わる「多数回該当」の金額は現行水準に据え置かれ、年収200万円未満の方については引き下げとなる※1
• 所得区分のさらなる細分化は2027年8月(令和9年8月)からの第2段階で行われる予定※1

概要

高額療養費制度とは、1か月に支払った医療費の自己負担額が一定の「限度額」を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される公的な仕組みです。所得に応じて限度額が設定されており、特に治療費が高額になるがん患者にとって重要なセーフティネットになっています。

今回の見直しは2段階で実施されます。2026年8月から始まる第1段階では、月ごとの限度額が所得区分によって変わります。中〜高所得の区分では月の限度額が引き上げられており、短期間の治療であれば1回あたりの支払いが増える可能性があります。一方、住民税非課税区分については引き上げ率が他の区分より緩和されています※1。

もう一つの柱が「年間上限」の新設です。これは、毎月の自己負担が月の限度額に届かない月が続いても、1年間(8月から翌年7月)の自己負担合計が一定の金額に達した時点で、それ以降の支払いが不要になる(保険者から還付される)仕組みです。70歳未満の年間上限額は所得区分によって異なり、住民税非課税の方は29万円、年収目安が約370万円以下の方と約370万〜約770万円の方はいずれも53万円、約770万〜約1,160万円の方は111万円、約1,160万円以上の方は168万円(いずれも令和8年8月〜令和9年7月の額)が設定されています。厚労省はこれまで多数回該当に当たらなかった人が、年間上限の新設により年間約23.7万円の負担が減る例を示しています(あくまで厚労省が示した一例であり、個人の状況によって異なります)※1。

長期療養者の保護という観点では、直近12か月のうち3か月以上、月の自己負担限度額に達した場合に適用される「多数回該当」(4回目以降の軽減措置)の金額は現行水準に据え置かれます。すでに長期にわたってがん治療を続けている方の月ごとの負担は増えない設計になっています。加えて、年収200万円未満の方については、多数回該当の金額が引き下げられます※1。

2027年8月からの第2段階では、所得区分がさらに細分化される予定です。こちらの詳細は別途厚労省から公表される見込みです※1。

この記事の読者にとっての意味

この見直しは、がんと診断されたすべての方と家族に関係します。月ごとの抗がん剤治療・入院・通院が続く場合、これまでは「月の限度額を超えた月だけ払い戻しを受け、超えない月は全額自己負担」という形でした。年間上限の新設により、毎月の支払いが限度額に届かなくても年間の合計が一定額を超えれば払い戻しを受けられるようになります。とりわけ、外来化学療法のように月ごとの医療費が限度額に届きにくい治療を長期間続けている方は、恩恵を受けやすい変更です。

一方で、月額の限度額は中〜高所得区分で引き上げられており、「以前より月ごとの支払いが増える」という側面も存在します。どちらの影響が大きいかは、治療の頻度・費用・所得区分によって異なります。制度は2026年8月診療分からすでに始まっているため、自分の所得区分や上限額を早めに把握しておくと、治療計画と家計の見通しを立てやすくなります。

自分の所得区分や適用される限度額・年間上限の金額は、加入している健康保険の保険者(会社員であれば健康保険組合や協会けんぽ、自営業であれば市区町村の国民健康保険)に問い合わせると教えてもらえます。また、治療中の病院に医療ソーシャルワーカー(MSW)が在籍していれば、制度の活用方法を一緒に整理してもらえます。「自分は多数回該当の対象になっているか」「年間上限に近づいているか」といった点も、具体的な相談のたたき台になります。

治療費の全体的な仕組みはがんの治療費、治療と仕事の両立や収入面の備えは仕事とがん治療、治療費をカバーするがん保険についてはがん保険についてもあわせてご覧ください。

(Medister編集部 2026年8月24日)

本記事は2026年8月24日時点の公的機関の情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の制度の適用可否や金額は加入している公的医療保険の保険者に、治療と費用の見通しについては主治医や医療ソーシャルワーカーにご確認ください。

参考資料

  1. 厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」(最終確認日: 2026年8月24日)

ページの上部へ戻る

がんの種類アクセスランキング

ページの先頭へ

医療系企業・特集

戦国武将とがん

書評

がんの種類