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更新日:2026/08/22

未分化型早期胃がんへのESD、10年追跡で治癒切除後の転移は195名中1名——JCOG1009/1010の長期成績

国立がん研究センターなど国内49施設が参加した前向き多施設試験(JCOG1009/1010)の結果が、2026年8月7日に医学誌Gastroenterologyに掲載された。対象は一定の条件を満たす未分化型の早期胃がん患者で、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を受けた後の経過を最長10年にわたって追跡したものだ。ESDで完全に切除できた(治癒切除)と判断された195名のうち、10年間に転移や再発が確認されたのは1名にとどまった。胃を温存したまま10年を過ごした後の安全性の実数を、前向き試験として初めて示した点が今回の発表の核心である。

発表のポイント

• 国内49施設・登録346名(最終解析275名)による前向き多施設試験で、未分化型早期胃がんへのESDの10年成績を検証した(最終確認日: 2026年8月23日)※1
• 治癒切除が得られた195名の10年間における転移・再発は1名のみ。10年全生存率は96.2%(95%信頼区間 93.1〜97.9%)、10年無再発生存率は95.7%(95%信頼区間 92.4〜97.6%)だった(最終確認日: 2026年8月23日)※1
• 異時性胃がん(別の場所に後から生じた新たな胃がん)が見つかった13名のうち8名は、再度ESDで対応できた(最終確認日: 2026年8月23日)※1

概要

「未分化型」とは、がん細胞が胃の正常な組織構造を失って増殖するタイプを指す。分化型と呼ばれるタイプと比べ、転移を起こしやすいとされてきた。そのため従来、未分化型の早期胃がんは外科的な胃切除が標準的な選択肢だった。

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、口から入れた内視鏡を使って胃の内側から病変を粘膜下層ごと切り剥がす処置で、体に切り傷をつけずに済み、胃を温存できる。この処置自体は保険収載された標準的な手技だが、未分化型早期胃がんへの適用については、長期的な安全性を前向き試験で確かめた報告がこれまでなかった。

JCOG1009/1010は、腫瘍が粘膜内にとどまり(T1a)、大きさが2cm以下で、潰瘍および潰瘍瘢痕のないことを条件に患者を登録した前向き多施設コホート試験である。最終解析の対象は275名。ESDで治癒切除(がんを完全に取り切り、追加の外科手術が不要と判断された状態)が得られた195名において、10年間の転移・再発例はわずか1名だった。

5年生存率は99.3%(95%信頼区間 97.1〜99.8%)であり、10年全生存率は96.2%(95%信頼区間 93.1〜97.9%)と報告されている。また胃を残したことで、経過観察中に別の部位に異時性胃がんが見つかった13名のうち8名は、再度ESDで対応できた。研究グループは、世界初の前向きコホートによる10年全生存率報告としている。

この記事の読者にとっての意味

対象となるのは、検診や内視鏡検査で未分化型の早期胃がんを指摘され、外科的な胃切除とESDのどちらにするか主治医と相談している段階の方と、その家族だ。今回の結果は、一定の条件(粘膜内・2cm以下・潰瘍および潰瘍瘢痕なし)を満たす病変であれば、ESDで治癒切除が得られた後の転移リスクが10年スパンでも非常に低いという実数を示している。

ESD自体は保険収載されており、現在も受けられる標準的な処置だが、適応は個々の病変の状態や患者さんの体の状態によって異なる。「自分の病変がこの試験の条件に当てはまるか」「治癒切除と判断された場合の経過観察の間隔はどうなるか」「異時性胃がんへの対応はどう考えるか」といった点を主治医に確認してみる糸口になりうる。ただし、試験条件の細かな数値の判断はいずれも主治医の医学的評価によるもので、記事の内容を自己判断の根拠にすることはお勧めしない。

胃がんの病態や治療の全体像については、胃がんのページを、内視鏡治療を含む治療の種類についてはがんの治療方法についてのページも参考にしてほしい。

(Medister編集部 2026年8月23日)

本記事は2026年8月23日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

記載の生存率は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. 国立がん研究センター「未分化型早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術の長期成績を検証——JCOG1009/1010試験10年追跡結果」(最終確認日: 2026年8月23日)
  2. JCOG1009/1010研究グループ「Ten-Year Outcomes of Endoscopic Submucosal Dissection for Undifferentiated-Type Early Gastric Cancer」Gastroenterology. 2026年8月7日掲載. DOI: 10.1053/j.gastro.2026.06.028(最終確認日: 2026年8月23日)

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