更新日:2026/08/21
骨盤手術を支援するAI「SurVis-Pel」の有用性を外科医36名で検証――国立がん研究センターが発表
国立がん研究センターと株式会社Jmeesは2026年8月20日、骨盤内のリンパ節郭清(こつばんないのリンパせつかくせい)を支援する内視鏡手術支援AIプログラム「SurVis-Pel(サーヴィス・ペル)」について、外科医36名を対象とした性能評価試験の結果を発表した※1。大腸外科・婦人科・泌尿器科の3診療科にわたる試験で、経験年数や専門科を問わず、手術中に重要な血管・神経・尿管を認識する精度が統計的に有意に改善したことが示された※1。SurVis-Pelはすでに2025年12月22日に厚生労働省の医療機器承認(承認番号30700BZX00342000)を取得しており、この発表は承認後の評価データの公表にあたる。結果は学術誌「npj Digital Medicine」(2026年6月30日掲載)に掲載された※1。
発表のポイント
• AIが骨盤内の4つの重要構造(外腸骨動脈・外腸骨静脈・尿管・閉鎖神経)を色分けしてリアルタイムで強調表示する(※1)
• 外科医36名の評価試験で、外腸骨静脈の感度が15.8ポイント、尿管が15.3ポイント、閉鎖神経が10.0ポイント上昇した(AIあり・なし比較)(※1)
• 改善は診療科・経験年数を問わず統計的に有意に認められた(※1)
概要
骨盤リンパ節郭清とは、直腸がん・子宮頸がん・前立腺がん・膀胱がんなどの手術時に骨盤内のリンパ節をまとめて切除する手技を指す。骨盤内には外腸骨動脈・外腸骨静脈(主要な血管)、尿管(腎臓から膀胱につながる管)、閉鎖神経(脚の動きに関わる神経)が密集しており、これらを傷つけると出血・排尿障害・運動障害などの合併症につながりうる。腹腔鏡やロボット手術など内視鏡を使う術式では、解剖構造の視認が難しくなる場面がある。
SurVis-Pelは、内視鏡カメラの映像にAIの認識結果をリアルタイムで重ね合わせ、上記4つの構造をそれぞれ色分けして強調表示する医療機器プログラムである※1。今回の評価試験では、大腸外科・婦人科・泌尿器科の外科医計36名が、AIの支援ありと支援なしの条件で同一の手術動画を読み、各構造を特定する精度を比較した※1。構造を実際に認識できた割合(感度)は、外腸骨動脈で6.9ポイント、外腸骨静脈で15.8ポイント、尿管で15.3ポイント、閉鎖神経で10.0ポイントそれぞれ上昇した※1。改善は経験年数の少ない外科医でも、専門が異なる診療科でも一様に認められた※1。
この記事の読者にとっての意味
直腸がん・大腸がん・子宮頸がん・前立腺がん・膀胱がんなど、骨盤内の手術(骨盤リンパ節郭清を含む可能性がある手術)を予定または検討中の患者さんと家族に関連する情報である。
SurVis-Pelは2025年12月に医療機器承認を取得済みであるが、全国のすべての施設での導入が完了しているわけではない。実際に使われているかどうかは施設や担当外科医によって異なる。また今回の試験はAIの認識精度を評価したものであり、手術の合併症リスクそのものが低下することを直接示したものではない点に留意が必要である。
「担当施設でこのようなAI支援システムを使っていますか」「自分の手術で適用されますか」という点を主治医や担当外科医に確認することが、状況を把握するうえでの一つの論点になりうる。
(Medister編集部 2026年8月22日)
本記事は2026年8月22日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
参考資料
- 国立がん研究センター「骨盤リンパ節郭清を支援する手術AIの有用性を外科医36名で実証」(最終確認日: 2026年8月22日)
- (研究グループ). npj Digital Medicine. 2026; DOI: 10.1038/s41746-026-02936-4(最終確認日: 2026年8月22日)※ペイウォールにより本文未確認。数値はNCCプレスリリース(※1)から引用


















