更新日:2026/08/21
免疫療法後に再発した腎細胞がん、ウェリレグ+レンビマ併用がカボメティクス単独より無増悪生存期間を有意に延長――LITESPARK-011試験・Lancet掲載、日本で追加申請
エーザイとMSDは2026年8月、抗PD-1/L1抗体(免疫チェックポイント阻害薬)による治療後に病勢が進行した進行淡明細胞型腎細胞がんを対象として、ベルズチファン(ウェリレグ)とレンバチニブ(レンビマ)の併用療法に関する用法・用量の追加申請を日本で実施したと発表した※1。この申請の根拠となったのが、国際学術誌The Lancetに掲載されたLITESPARK-011試験(第III相・無作為化・非盲検、登録747名)の結果であり、現在の標準的な二次治療薬であるカボザンチニブ(カボメティクス)単剤と比較して、併用群が無増悪生存期間(PFS)を統計的に有意に延長した※1。
発表のポイント
• 無増悪生存期間の中央値は、ベルズチファン+レンバチニブ併用群14.8か月に対し、カボザンチニブ単剤群10.7か月(HR=0.70、95%CI: 0.59〜0.84、p=0.00007)※1
• 全生存期間(OS)は併用群34.9か月対単剤群27.6か月と数値上は上回るが、統計的有意差はなく(HR=0.85、95%CI: 0.68〜1.05、p=0.06075)、本試験は継続中で今後の解析で引き続き評価される予定とされている※1
• 日本では現時点でこの併用用法は未承認であり、申請中の段階にある。なお、ベルズチファン単剤はすでに日本で腎細胞がんに承認されている※1
概要
LITESPARK-011試験は、抗PD-1/L1療法(免疫チェックポイント阻害薬)で一度治療を受けたあとに病勢が進行した進行淡明細胞型腎細胞がんの患者747名を対象とした、第III相無作為化比較試験である。追跡期間の中央値は29.0か月(範囲: 19.3〜49.2か月)にわたった※1。
今回の2剤は作用の仕組みが異なる。ベルズチファン(ウェリレグ)はHIF-2α(低酸素誘導因子2α)というタンパク質を阻害して腎細胞がんの増殖に関わる遺伝子のはたらきを抑え、レンバチニブ(レンビマ)はVEGFR(血管内皮増殖因子受容体)など複数のキナーゼを阻害して腫瘍への血管新生を抑えるマルチキナーゼ阻害薬である。腫瘍の増殖と血管新生という異なる経路を同時に抑えることを意図した組み合わせである。
主要評価項目であるPFSは併用群で有意に延長し、疾患の進行または死亡のリスクが30%低下した(HR=0.70)※1。奏効率(腫瘍が一定以上縮小した患者の割合)も併用群52.6%対単剤群39.6%と上回った※1。
一方、全生存期間(OS)については、中央値は併用群34.9か月・単剤群27.6か月と数値上は上回るものの、HR=0.85(95%CI: 0.68〜1.05)・p値は0.06075であり、統計的な有意差には達していない※1。本試験は継続中であり、OSは今後の解析で引き続き評価される予定とされている※1。現時点でOSの優劣を確定するには、今後の追跡データを待つ必要がある。
安全性については、新たな安全性シグナル(想定外の重大な副作用の徴候)は報告されていない※1。
この記事の読者にとっての意味
今回の試験が対象とするのは、「免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1/L1抗体)による治療中または治療後に病勢が進行した進行・転移性の淡明細胞型腎細胞がん」の患者さんである。腎細胞がんの二次治療の選択肢に関心がある方、あるいは今後の治療方針を主治医と検討している方が対象となりうる。腎細胞がんについての一般的な情報は、本サイトの関連記事でも確認できる。
ただし、日本では現時点で、ベルズチファンとレンバチニブを組み合わせた「併用」という用法・用量は承認されておらず、この組み合わせで処方を受けることはできない。ベルズチファン(ウェリレグ)単剤・レンバチニブ(レンビマ)単剤はそれぞれ腎細胞がんで承認済みだが、今回の「併用」は現在承認申請の審査中の段階である。米国(FDA)でも審査中で、PDUFAアクションデートは2026年10月4日に設定されている※1。
主治医への相談の論点として、「自分の腎細胞がんの組織型(淡明細胞型かどうか)」「免疫チェックポイント阻害薬の治療歴の有無と現在の病期」「今後この組み合わせが承認された場合に自分が対象になりうるか」といった点を確認することが、情報収集の糸口になりうる。診療の指示ではなく、主治医との対話の入口として参考にしてほしい。免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ等)についての背景知識も、あわせて確認できる。
本記事は2026年8月22日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
(Medister編集部 2026年8月22日)
参考資料
- エーザイ株式会社・MSD株式会社「レンビマについて、日本において、がん化学療法後に増悪した腎細胞がんを対象にウェリレグとの併用療法に係る用法・用量を追加申請」(最終確認日: 2026年8月22日)
- Motzer RJ, et al. “Belzutifan plus lenvatinib versus cabozantinib in patients with previously treated advanced renal cell carcinoma (LITESPARK-011): an open-label, randomised, controlled, phase 3 trial.” The Lancet. 2026. DOI: 10.1016/S0140-6736(26)01089-5(最終確認日: 2026年8月22日。本文取得不可のため数値はエーザイプレスリリース記載値を使用)


















