google+
はてなブックマーク
LINE
  • Medister
  • コラム
  • 書評
  • 医療系企業・特集
がん治療.com おすすめコンテンツ
心理状態の遷移
告知をされてから、がん患者の心理はどのように遷移するのか?
ストレス解消法
がん治療は大きなストレスとなりますが、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
医師との付き合い方
がん治療するうえで、医師と上手に付き合っていくには?
  • がん治療.com コンテンツ一覧
  • がん治療.com 用語集

更新日:2026/08/19

HER2陽性早期乳がんのフェスゴ皮下注、安全性は静注と一致——PHranceSCa試験が3年データを報告

HER2陽性早期乳がんの補助療法に使われるフェスゴ(ペルツズマブとトラスツズマブの皮下注射用配合剤)について、従来の静脈注射(点滴)による同種の併用療法と安全性が一致し、3年時点でも良好なイベントフリー率が報告された。査読付き医学誌「Clinical Breast Cancer」2025年8月号に掲載されたPHranceSCa試験(ランダム化オープンラベル国際多施設共同第II相試験、n=159)の長期追跡データによるものだ。ただし論文自身は3年時点の有効性データを「未成熟」と位置づけており、本試験は静注との有効性を並行して比較することを目的としたものではない※1。フェスゴは日本では2023年9月に承認されており、保険適用済みの治療である。

発表のポイント

• 安全性は局所の注射部位反応を除き、従来の静注(点滴)による併用療法と一致していた※1
• PHranceSCa試験(第II相、n=159)における3年無病生存率は94.17%(95%信頼区間: 90.47〜97.87%)、3年全生存率は98.71%(95%信頼区間: 96.92〜100%)と報告された※1
• ただし論文はこの有効性データを「未成熟」とし、追跡期間が3年と比較的短いことに留意すべきと述べている※1

概要

HER2陽性乳がんは、がん細胞の表面にあるHER2(ヒト上皮成長因子受容体2型)というタンパク質が過剰に発現しているタイプの乳がんだ。早期乳がんに対しては、手術の前後にHER2を標的とする薬剤と化学療法を組み合わせた補助療法が行われる。

フェスゴは、ペルツズマブとトラスツズマブという2種類のHER2標的薬を1本のバイアルにあらかじめ混合した皮下注射用の配合剤である。従来はこれらの2剤をそれぞれ点滴(静脈注射)で投与していたが、フェスゴは皮膚の下に直接注入する皮下注射で投与でき、初回は8分以上、2回目以降は5分以上で投与が完了する。従来の静注ではパージェタとハーセプチンを続けて投与する場合、初回が約150分、2回目以降が60〜150分かかっていたことと比べると、投与にかかる時間が短縮される※2。

PHranceSCa試験はHER2陽性早期乳がん患者159名を対象としたランダム化オープンラベル国際多施設共同の第II相試験である。もともとは投与法に対する患者さんの好み(選好)を主要な評価項目としたクロスオーバー型のデザインで、今回はその長期追跡データが報告された。3年時点の無病生存率は94.17%、全生存率は98.71%と報告されたが、論文はこれらを「未成熟な有効性データ」と位置づけ、ペルツズマブ・トラスツズマブの既に知られた臨床的有用性と整合する範囲のものだと述べている※1。安全性の面では、注射を行った部位の局所反応(皮膚の赤みや腫れなど)を除き、全体的な安全性プロファイルは静注による従来療法と一致していた※1。

この記事の読者にとっての意味

この試験の結果が関係するのは、HER2陽性と診断された早期乳がんで、手術前または手術後の補助療法においてペルツズマブとトラスツズマブを使う治療を受けている、または検討している患者さんとその家族だ。フェスゴ(皮下注射用配合剤)は日本では2023年9月に承認され、保険適用済みの治療薬として利用できる状態にある※2。今回の長期データは、皮下注の安全性が注射部位反応を除き静注と一致することを示している。有効性については3年時点のデータであり、論文自身が「未成熟」と留保している点に留意が必要だが、これまで知られている効果と整合する結果だった※1。

主治医に確認するとしたら、「現在受けている静注での投与をフェスゴ(皮下注)に変更する選択肢はあるか」「自分の病期や治療歴に照らして、この試験の結果はどう解釈すればよいか」といった点が手がかりになりうる。切り替えが適切かどうかは個々の状況によって異なるため、担当医との相談が前提となる。

乳がんの治療については乳がんのページで、治療に伴う副作用への対処についてはがん治療の副作用と合併症のページでそれぞれ詳しく説明している。

(Medister編集部 2026年8月20日)

本記事は2026年8月20日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。なお、記載の無病生存率・全生存率は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. O’Shaughnessy J, et al. Clinical Breast Cancer. 2025;25(6):554-559.e1. DOI: 10.1016/j.clbc.2025.04.016 / PMID: 40461387(最終確認日: 2026年8月20日)
  2. 中外製薬「フェスゴ配合皮下注承認に関するお知らせ」(最終確認日: 2026年8月20日)

ページの上部へ戻る

がんの種類アクセスランキング

ページの先頭へ

医療系企業・特集

戦国武将とがん

書評

がんの種類