更新日:2026/08/19
AR陽性の唾液腺がんにホルモン療法が承認——ダロルタミド+ゴセレリン、2026年3月に日本で効能追加
国立がん研究センター東病院を主施設とする研究グループが主導した医師主導治験「DISCOVARY試験」(第II相)の成果をもとに、ダロルタミド+ゴセレリンによるホルモン療法が、アンドロゲン受容体(AR)陽性の唾液腺がんに対する効能追加として2026年3月23日に日本で承認された。国立がん研究センターは「唾液腺がんに対するホルモン療法として世界初の承認」と発表した※1。ダロルタミドは従来、前立腺がんの治療薬として承認されていたが、今回の効能追加により日本でAR陽性唾液腺がんにも使えるようになった。
発表のポイント
• 2026年3月23日、ダロルタミド+ゴセレリンが日本でAR陽性唾液腺がんへの効能追加承認を取得——唾液腺がんへのホルモン療法として世界初※1
• DISCOVARY試験(第II相・単群・n=31の有効性解析対象)における奏効割合(ORR)は45.2%(90%信頼区間29.7〜61.3)、無増悪生存期間(PFS)中央値は13.1か月(95%信頼区間2.0か月〜未到達)※1
• Grade3以上の有害事象は18.2%で、Grade4・5の事象は認められなかった※1
概要
唾液腺がんは、耳下腺・顎下腺・舌下腺などの唾液腺に発生するがんで、日本での年間罹患者数が少ない希少がんだ。治療の選択肢が限られており、切除不能・再発・転移の例では化学療法が主な選択肢とされてきた。
今回の承認の対象は、腫瘍の表面に「アンドロゲン受容体(AR)」と呼ばれるタンパク質が多く見られる型の唾液腺がんだ。ARとは男性ホルモン(アンドロゲン)と結合し、がん細胞の増殖を促進するタンパク質のことで、唾液腺がんの一部でこのタンパク質が高発現することが知られている。
DISCOVARY試験は国内12施設が参加した多施設共同単群の医師主導治験(第II相)で、切除不能局所進行または再発・転移性のAR陽性唾液腺がん患者を対象としている。有効性の解析に用いたのはダロルタミド+ゴセレリンの併用療法コホート31例で、奏効割合(ORR)は45.2%(完全奏効1例・部分奏効13例)、PFS中央値は13.1か月だった※1。病勢コントロール率は64.5%、臨床的有益率は51.6%と報告されている※1。
安全性については、Grade3以上の有害事象が18.2%で、倦怠感(9.1%)やほてり(6.1%)が主な有害事象として報告された。Grade4・5の事象は認められず、重篤な有害事象として過敏症・発熱・播種性血管内凝固症候群が一部報告されたが、国立がん研究センターはいずれも管理可能であったとしている※1。
この記事の読者にとっての意味
この承認が関係するのは、「切除不能な局所進行、または再発・転移のある唾液腺がんで、腫瘍がAR陽性と診断された患者さんとその家族」だ。2026年3月の効能追加承認を受けており、保険診療の範囲内で使える段階にある(具体的な保険適用・費用の詳細は担当医や医療機関に確認してほしい)。
自分のがんがAR陽性かどうかは、腫瘍の病理検査で確認できる。プレスリリースによれば、今回の試験では中央判定でAR陽性かどうかを確認しており、施設判定との一致率は93.9%と記されている※1。「自分の腫瘍のAR陽性・陰性の結果はどうか」「ダロルタミド+ゴセレリンの組み合わせは自分の病状に適しているか」を担当医に確認するのが、次の手がかりとなりうる。唾液腺がんは希少がんであるため、頭頸部がんの専門施設や国立がん研究センターのような拠点病院に相談する選択肢もある。
唾液腺がんは口腔・頭頸部領域のがんに位置づけられる。同じ口腔・頭頸部領域のがんについては、喉頭がんや舌がんの解説も参考にしてほしい。
(Medister編集部 2026年8月20日)
本記事は2026年8月20日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
参考資料
- 国立がん研究センター「唾液腺がんに対するホルモン療法として世界初の承認——切除不能・再発・転移AR陽性唾液腺がんへのダロルタミド+ゴセレリン療法」(最終確認日: 2026年8月20日)
- Okano S, Tahara M, et al. “Darolutamide Alone and in Combination With Goserelin in Androgen Receptor–Positive Salivary Gland Carcinoma (DISCOVARY).” J Clin Oncol. DOI: 10.1200/JCO-25-03028(最終確認日: 2026年8月20日)


















