更新日:2021/12/11
国立がん研究センターに「がん対策研究所」を開設
国立研究開発法人国立がん研究センターは、すべての人々が健康と尊厳を持って暮らせる社会の実現を目指す新組織「がん対策研究所(National Cancer Center Institute for Cancer Control)」を2021年9月1日に開設した。
近年、ゲノム解析をはじめとする科学技術の向上や高齢化等の進展を背景に、がん対策に対する社会のニーズは急速に高度化・多様化している。さらに、がんや医療に関する情報も氾濫するなか、エビデンスに基づく確かな情報提供の重要性も増している。
「がん対策研究所」は、国立がん研究センターの社会医学系の研究・事業に携わる既存の部署を統合し、研究・事業の遂行機能を向上、効率化することを目的に発足した新組織である。母体となった、公衆衛生・社会医学研究を担ってきた「社会と健康研究センター」及びがんの情報提供・がん対策支援を担ってきた「がん対策情報センター」の組織・人員は、全てがん対策研究所に移行する。
がん対策情報センターが運営してきた「がん情報サービス」、企画・編集を行ってきた「がん情報編集委員会」については、がん対策研究所がん情報提供部が所管することになるが、国民の情報ニーズの高度化・多様化に適切に対応していくためには当センターの総力を挙げて情報発信する必要がある。このため、「がん対策情報センター本部(本部長:理事長)」を設置し、センター各部門(研究所、中央病院、東病院等)の情報発信機能を組織横断的に統括する体制を整備する。「がん対策情報センター本部」は、最新の知見に基づく情報コンテンツを「がん情報編集委員会」に提供し、がん情報サービスの充実を図る。
「がん対策研究所」は、「すべての人が、健康と尊厳をもって暮らせる社会を実現する」を理念とし、「社会と協働して、エビデンスを創り、がん対策につなげ、すべての人に届ける」ことを大きな使命としている。具体的には、1.世界を変える新たな科学的知見を創る、2.社会のニーズに応え、科学的知見を結集し、がん対策につなげる、3.すべての人に確かな情報を届け、がん対策の実装とその支援を行う、という3つの柱を使命として掲げ、これらを確実に実現していく。
これらの行動方針に基づき、患者・市民のニーズを取り入れながら、研究・事業を着実に進めていくことで、エビデンスの創出からがん対策・社会実装に至るまでのリーダーシップ(研究開発力)、国の健康戦略への積極的関与(政策提言力)、新たに発生する喫緊の課題への迅速かつ柔軟に総力で取り組める体制(進行・喫緊課題対応力)、国際研究力の強化(国際研究力)、高い専門性と俯瞰的視野を備えた人材を育成できる体制(人材育成力)を強化する方針である。
(Medister 2021年10月25日 中立元樹)
<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 国立がん研究センターに「がん対策研究所」を開設すべての人々が健康と尊厳を持って暮らせる社会の実現に向けた組織改革