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更新日:2021/11/06

化学放射線療法の効果が低い食道がんにおけるゲノム進化の過程を解明

九州大学の三森功士教授、石神康生教授、平川雅和准教授、平田秀成医員(現・国立がん研究センター東病院)、東京大学医科学研究所ゲノム医科学分野の柴田龍弘教授(国立がん研究センター兼務)、新井田厚司講師、国立がん研究センター東病院の秋元哲夫副院長らの研究グループは、化学放射線療法の効果が低く再発しやすい難治性食道がんのゲノム異常の特徴や、再発に至るがんゲノムの進化の過程を明らかにした。

食道がん患者33名より化学放射線療法前に得た腫瘍と、このうち5名の再発腫瘍から次世代シークエンサーを用いた包括的ゲノムデータを取得し、スーパーコンピュータを用いた数理統計解析を行った。その結果、治療前にMYC遺伝子のコピー数が増加している食道がんでは治療効果が低いことが分かった。公共のがん細胞株データベースにおいても、食道がんのMYCコピー数増加は放射線治療抵抗性と相関していた。さらに再発腫瘍のゲノムを時空間解析した結果、がんの進展に重要な役割を果たすドライバー遺伝子異常(MYCコピー数増加など)を持つがん細胞は治療後も生き残り再発の源になること、再発時に新たに獲得するドライバー遺伝子異常は少数であること、がんゲノムの進化に治療が与える影響も明らかとなった。

今回の成果は治療抵抗性の理解を深め、がんゲノム情報に基づく化学放射線療法の個別化医療・精密医療の開発や、難治性食道がんの新たな治療開発につながると期待される。関係研究者も、「食道がんをはじめ多くのがんで、化学放射線療法後に再発する原因はよく分かっていません。今回、そのメカニズムの一端が明らかになりました。がん細胞はしたたかに治療による過酷な環境に適応しながら進化し、生き残った細胞が再発の原因となります。本研究が難治がんの克服に少しでも役立てば幸いです」と大きな期待を示している。

本研究成果は、2021年8月20日午前10時(日本時間)に米国科学雑誌「Cancer Research」で公開されている。
(Medister 2021年10月11日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 化学放射線療法の効果が低い食道がんにおけるゲノム進化の過程を解明 ~難治性食道がんを克服する新たな治療開発に期待~

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