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更新日:2021/08/08

36.6万人規模の大規模ゲノムコホートを構築個別化医療・個別化予防の早期実現に向けて国内6研究機関が連携

岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)および東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)、名古屋大学が事務局をつとめる日本多施設共同コーホート(J-MICC)研究、国立がん研究センターがとりまとめる多目的コホート(JPHC)研究、慶應・鶴岡メタボロームコホート(TMC)研究、愛知県がんセンター病院疫学(HERPACC2,3)研究の国内6研究機関は各コホート研究で収集した情報を相互利用するための包括的な共同研究の枠組み(国内ゲノムコホート連携)を構築した(2021年3月5日契約締結)。

岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)は、東日本大震災の復興支援事業である東北メディカル・メガバンク(TMM)計画の一環として、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と共同で、文部科学省、復興庁、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援の下、2013年度から岩手県・宮城県の被災地を中心とした大規模健康調査を行い、地域医療の復興に貢献するとともに、個別化医療等の次世代医療の基盤構築を目指している。

現在、次世代医療実現に向け、数十万から百万人の大規模ゲノム解析を目指すプロジェクトが世界各国で行われているが、近年開発されたゲノム情報に基づく疾患発症リスク予測法であるpolygenic risk score(PRS)が異なる民族集団のモデルを用いた場合に精度が低くなること、また構築したモデルの前向きコホートでの検証が重要であることが判明したため、日本人の次世代医療実現には、日本で数十万人規模のゲノムコホート研究を早急に進めることが必要とされていた。

TMM計画のコホート研究では、2016年までに15万人の参加登録を達成した。その後、現在までに15万人のゲノム解析を実施し、日本における最大級の次世代医療研究の基盤となっているが、ベースライン調査(2013年度から2016年度)からの経過年数が浅いため、罹患情報が十分に登録されているとは言い難い状況であった。また、TMM計画以外の日本国内におけるゲノムコホート研究においては、下表のように1機関で数十万人規模のゲノムコホート研究は実施されていなかった。

次世代医療の実現には大規模なゲノムデータと罹患情報が必要となること、ゲノム解析や罹患情報の蓄積には時間を要することから、コホート間での包括的な共同研究の枠組みを構築することで、ゲノムデータと罹患情報などを双方十分に蓄積したコホートデータを整え、それらを相互利活用することにより、次世代医療の早期実現を目指すため、IMM、ToMMo、J-MICC、JPHC、TMC、HERPACC2,3の6機関が連携する運びとなった(2021年3月5日契約締結)。

TMM計画、J-MICC研究、JPHC研究、TMC研究、HERPACC2,3研究のコホート情報(調査票情報や生理機能検査値など)、ゲノムデータをToMMoに設置しているスーパーコンピュータに保管し、個人情報保護に対する十分な配慮がなされた遠隔セキュリティエリアを利用する。また、計画された各研究内容は審査のうえで実行され、概要は公開される。

今回の連携により、TMM計画、J-MICC研究、JPHC研究、TMC研究、 HERPACC2,3研究の研究者がお互いのコホート情報やゲノム情報、罹患情報などを利用可能となることで、双方のゲノム疫学研究が推進され、次世代医療の早期実現へ貢献することが可能となる。また、この連携は、大規模コホート研究データの相互利活用の方法として草分け的な事例になると考えられ、今後他のコホート研究への波及も期待される。
(Medister 2021年7月26日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 36.6万人規模の大規模ゲノムコホートを構築個別化医療・個別化予防の早期実現に向けて国内6研究機関が連携 データの相互利活用により次世代医療の早期実現へ貢献可能

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