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更新日:2021/08/08

国際がんゲノムプロジェクトICGC-ARGOに「MONSTAR-SCREEN」が参加

国立研究開発法人国立がん研究センター東病院(以下東病院)とInternational Cancer Genome Consortium-Accelerating Research in Genomic Oncology(以下ICGC-ARGO)は、2021年2月より、国立がん研究センターが主導する産学連携がんゲノムスクリーニング事業SCRUM-Japanにおける、広範な固形がんの患者を対象とした全国がん遺伝子診断ネットワーク「MONSTAR-SCREEN(モンスター・スクリーン)」がICGC-ARGOに参加したことを共同で発表した。

ICGC-ARGOは、100,000症例のがんのゲノムデータを集積し、かつ同時に豊富な臨床情報とともに解析を行うことによって、がん撲滅に向けた重要かつ未解決の課題に取り組む国際的プロジェクトである。集積したデータを迅速かつ信頼性の高い方法で世界の共同研究グループ全体に共有することで、がんの原因と制御に関する研究を加速していく。本プロジェクトに、高品質な大規模データを所有するMONSTAR-SCREENが参加することにより、国際的データベースの構築への貢献と、患者さんに届くがんゲノム医療の発展に資することが期待される。

MONSTAR-SCREENは、治癒切除不能な固形がん患者の血液循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA: ctDNA)及び便を経時的かつ臓器横断的に解析し、がん関連遺伝子異常及び腸内細菌叢をプロファイリング・モニタリングする研究であり、2021年3月末までに約1,600例の患者が登録されている。さらに続く本研究のゲノム解析データにおいても、今後ICGC-ARGOへの提供が計画されている。

またMONSTAR-SCREENの研究代表者である東病院消化管内科長の吉野孝之氏がICGC-ARGOの中枢を担うExecutive boardのメンバーに日本人で初めて選出された。国際協調のもと、ゲノム解析データに質が高い臨床情報が付加されたビッグデータベース構築への協力と、それを利活用することによる世界レベルでの新たながん診断・治療技術の開発等を目指して研究を進めていく方針である。

ICGC-ARGOが進める国際的全ゲノム解析データベース構築において、MONSTAR-SCREENが中心的な役割を果たすことで、日本のがん全ゲノム解析研究レベルの向上に貢献するとともに、日本主導のプロジェクトをグローバル展開していくという。また豊富な臨床病理情報が付加された全ゲノム解析データベースの利活用により、新たな耐性メカニズム・治療標的の発見やがん診断・治療技術の開発などを、世界との協調のもと加速させる方針である。
(Medister 2021年7月19日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 国際がんゲノムプロジェクトICGC-ARGOに「MONSTAR-SCREEN」が参加 ―プロジェクトの国際展開で、新たながん診断・治療開発のさらなる加速を目指す―

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