google+
はてなブックマーク
LINE
  • Medister
  • コラム
  • 書評
  • 医療系企業・特集
がん治療.com おすすめコンテンツ
心理状態の遷移
告知をされてから、がん患者の心理はどのように遷移するのか?
ストレス解消法
がん治療は大きなストレスとなりますが、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
医師との付き合い方
がん治療するうえで、医師と上手に付き合っていくには?
  • がん治療.com コンテンツ一覧
  • がん治療.com 用語集

更新日:2021/07/23

国立研究開発法人国立がん研究センターとエーザイ株式会社が治療効果予測能が高いPDXとがんゲノムデータを用いた「希少がんならびに難治性がんに対する抗がん剤治療開発を加速させる創薬研究手法に関する研究」を開始

国立研究開発法人国立がん研究センター(以下国立がん研究センター)とエーザイ株式会社(以下エーザイ)は、「希少がんならびに難治性がんに対する抗がん剤治療開発を加速させる創薬研究手法に関する研究」について研究開発契約を締結し、研究活動を開始した。この研究開発プロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の支援により実施する。

希少がんは、患者数が非常に少ないため、製薬企業単独では開発が困難であり、製造販売承認に至る薬剤は限られている。また、患者数が多いがんにおいても、標準治療が確立されていない難治性がんなどは研究開発の難易度が高く、新薬創製の障壁となっている。このような背景のもと、希少がんや難治性がんの患者にいち早く有効な治療法をお届けするためには、薬剤の効果を予め確認する非臨床研究での治療効果予測を高精度かつ効率的に証明し、続く臨床試験への移行をシームレスに行うこと、さらに実際の治療効果や副作用、薬剤耐性の作用機序を解明することが重要である。そのため、本研究開発プロジェクトでは、臨床での有効性を高精度に予測可能なPDX(Patient-Derived Xenograft:患者由来のがん組織を免疫不全マウスに移植したモデル)ライブラリーとがんゲノムデータを用いてその実現を目指すという。

国立がん研究センターは、国内における希少がんを含めた全がん種を対象とした基礎研究、疫学研究、臨床試験をリードする存在であり、2020年5月にはAMED CiCLEの支援により、臨床情報を付帯した日本人がん患者由来の大規模PDXライブラリー「J-PDX」を構築し、基盤・環境の整備を完了している。J-PDXには、希少がんや難治性がんも含め既に410種以上のPDXが樹立されている(2021年3月現在)。

エーザイは、グローバルに承認を取得した微小管ダイナミクス阻害剤エリブリンメシル酸塩(製品名:ハラヴェン)とマルチキナーゼ阻害剤レンバチニブメシル酸塩(製品名:レンビマ)に関する経験を活かし、製品ポートフォリオマネジメントの基本戦略として、「がんゲノミクス」と「がん微小環境」を重点領域と定め、新規抗がん剤の研究開発を進めている。

本契約に基づく研究開発では、国立がん研究センターとエーザイが共同して、エーザイ創製の新薬候補品に対して、患者臨床情報が付帯するJ-PDXを用いて臓器横断的に非臨床研究を行い、臨床試験に移行すべき薬剤と対象がん種を決定する。そのうえで希少がんならびに難治性がんを対象に医師主導治験を実施し、臨床での有用性を確認するとともに、承認申請を目指す。さらに、治療前後の腫瘍組織からPDXを樹立し、薬剤応答性ならびにがんゲノムの比較解析を行い、新規創薬ターゲットの探索と薬剤耐性機序の解明に取り組み、新たな創薬への展開を検討する。これらの取り組みにより、日本における新規抗がん剤開発を加速させる創薬研究システムの確立を目指すという。

国立がん研究センターとエーザイは、本契約に基づく研究開発を通じて、アンメット・メディカル・ニーズの高い希少がんならびに難治性がんに対する治療薬の創出に取り組むことによって、がん患者とその家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献する方針である。
(Medister 2021年7月12日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 国立研究開発法人国立がん研究センターとエーザイ株式会社が治療効果予測能が高いPDXとがんゲノムデータを用いた「希少がんならびに難治性がんに対する抗がん剤治療開発を加速させる創薬研究手法に関する研究」を開始

ページの上部へ戻る

がんの種類アクセスランキング

ページの先頭へ

医療系企業・特集

戦国武将とがん

書評

がんの種類