更新日:2021/05/07
国立高度専門医療研究センター6機関の連携による「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」公開
それぞれに専門性を有する国立高度専門医療研究センターである国立研究開発法人国立がん研究センターと国立研究開発法人国立循環器病研究センター、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター、国立研究開発法人国立国際医療研究センター、国立研究開発法人国立成育医療研究センター、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターは、日本人の健康寿命延伸のために必要な予防行動等について、個人とそれを取り巻く社会的要因に関する目標を「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」としてまとめた。
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことで、寿命とは区別される。健康寿命を延伸するためには、小児、妊婦、成人、高齢者など年齢や状態に応じて、様々な疾患を横断的に予防することが必要である。しかしこれまで、予防について疾患横断的にまとめられたガイドラインや指針はない。
そこで、国立高度専門医療研究センターの6機関は共同で、2017年度より公衆衛生・予防医学分野の疾患横断的研究連携事業「電子化医療情報を活用した疾患横断的コホート研究情報基盤整備事業(主任研究者:津金昌一郎)」を開始し、地域医療・保健専門職や政策決定者が、国民への保健指導や街づくりなどを行う際に活用することを目標に、現在までの疫学研究などのエビデンスに基づき本提言をまとめた。
本提言では、疾患横断的に健康を左右する生理学的要因や生活習慣、社会的・物理的環境の10項目「喫煙」「飲酒」「食事」「体格」「身体活動」「心理社会的要因」「感染症」「健診・検診の受診と口腔ケア」「成育歴・育児歴」「健康の社会的決定要因」について、予防行動等に関する国民一人一人の目標と個人を取り巻く社会的要因に関する公衆衛生目標を提示している。
このような疾患横断的な予防に関する取り組みは、日本で初めての試みで、国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部(JH)の支援により専門分野の異なる6つの国立高度専門医療研究センターが連携し実現した。
このような予防に関する疾患横断的な取り組みは、日本で初めての試みである。現在はまだ日本人でのエビデンスが不足しているため、今回の第一次提言書では欧米人でのエビデンスを多く採用している。今後、日本人での研究を戦略的に推進し、本提言の更新を重ねていくことで、国民の健康寿命延伸のために必要な情報をさらに充実させていく方針である。
(Medister 2021年5月7日 中立元樹)
<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 国立高度専門医療研究センター6機関の連携による「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」公開