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更新日:2021/03/16

がんサバイバー労働者の心身の状態-がん既往のない労働者との比較

国立研究開発法人国立がん研究センターと藤田医科大学の研究グループは、約5万4千人の労働者を対象にがんサバイバー(がん既往がある者)と既往症のない労働者の心身の状態について調査し、がんサバイバー労働者の主観的不健康、身体的機能の低下、抑うつ症状、幸福感を、がん既往のない労働者と比較した。

近年、がんサバイバーの就労支援が進められている。就労していないがんサバイバーに比べて、就労しているがんサバイバーは主観的不健康、身体的機能の低下、抑うつ症状を訴える割合が低いことが報告されている。しかし、がんサバイバー労働者の主観的不健康(自分の健康状態が良くないと思うこと)、身体的機能の低下、抑うつ症状、幸福感を訴える割合が、がん既往のない労働者と異なるかについては報告が少なく、よく分かっていなかった。今回の研究では、がんサバイバー労働者の主観的不健康、身体的機能の低下、抑うつ症状、幸福感を、がん既往のない労働者と比較した。

平成23-28年(2011-16年)に、次世代多目的コホート研究対象地域(秋田県、岩手県、茨城県、長野県、高知県、愛媛県、長崎県など)に住み、本研究に同意した40-74歳の約11万5千人のうち、アンケートで労働者であると回答した40-65歳の約5万4千人(男性28,311人、女性26,068人)のアンケート結果に基づいて、がんサバイバー(がん既往がある者)労働者の主観的不健康(自分の健康状態が良くないと思うこと)、身体的機能の低下、抑うつ症状、幸福感といった心身の状況を調査した。

「今までに、医師から次の病気があると言われ、次の手術を受けましたか?当てはまるものをすべてマークしてください」の質問に対し、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、その他のがんのいずれか1つ以上をマークした者を、がんサバイバー(がんの既往あり)とした。

がんの既往がある(がんサバイバー)と答えた労働者は、男性977人(3.5%)、女性1,267人(4.9%)であった。がんの部位として多かったのは男性では胃(26%)、大腸(22%)、前立腺(14%)、女性では乳(38%)、大腸(9%)、胃(8%)であった。

男女とも、がんサバイバー労働者では、がん既往のない労働者に比べて、主観的不健康を訴える割合と、身体的機能の低下があると答えた割合が、統計学的に有意に高いことが分かった。一方、抑うつ症状がある人の割合はがんサバイバー労働者とがん既往のない労働者との間に違いはみられなかった。幸福感を感じる割合は、がん既往のない労働者と比べてがんサバイバー労働者では、男性で統計学的に有意に高いことが分かったが、女性では違いはみられなかった。

本研究では、がん既往のない労働者に比べて、がんサバイバー労働者では、主観的不健康や身体的機能の低下を訴える割合が高いことが明らかになった。この研究結果は、日本やノルウェーの比較的小規模な研究で報告されていたが、本研究においても同様の結果であった。先行研究では、様々ながん治療が身体的機能の低下をもたらすことが報告されており、本研究では、身体的機能の低下をがんサバイバー自身で感じていることが反映された結果と考えられる。先行研究では、男性は就労して稼ぎ手となることに幸福感を感じるという報告があり、本研究においても、男性のがんサバイバー労働者が幸福感を感じる割合が高いことが分かった。本研究結果は、男性がんサバイバーはがんから生き延びた幸福感に加えて就労していることに幸福感を感じていることを示していると考えられる。

がんサバイバーの就労復帰が政策として進められているが、就労復帰した後も継続的にがんサバイバーに対して主観的健康感や身体的機能を向上させるためのサポートを行うことの必要性が示唆された。今回の研究では、がんの部位やがんを罹患してからどれくらい経過しているかを考慮した分析ができていないなどの限界があり、今後もさらなる研究が必要である。
(Medister 2021年3月16日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース がんサバイバー労働者の心身の状態-がん既往のない労働者との比較 次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT研究)からの成果

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