更新日:2019/12/16
抗体薬物複合体DS-7300の固形がん患者を対象とした第1/2相臨床試験開始について
第一三共株式会社(以下「第一三共」)は、再発・進行性の固形がん患者を対象としたDS-7300(B7-H3を標的とした抗体薬物複合体[以下「ADC」])の第1/2相臨床試験(以下「本試験」)において、最初の患者への投与を開始した。
第一三共は、がん領域パイプラインのグローバル開発の加速を目的として、Sarah Cannon Research Instituteとの開発提携を昨年12月に発表しており、本試験は、本提携のもと初めて開始した臨床試験となる。
DS-7300は、当社ADCフランチャイズで4番目に臨床開発段階に入った薬剤で、がん細胞膜上のB7-H3を標的としている。DS-7300は、当社独自のADC技術を用いて創製されたものである。独自のリンカーを介して新規のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(以下「DXd」)を抗B7-H3抗体に結合させた薬剤で、1つの抗体につき約4個のDXdが結合している。薬物をがん細胞内に直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えるよう設計されている。B7-H3は、肺がん、頭頸部がん、食道がん、前立腺がん、子宮内膜がん、乳がんなど様々ながん種において過剰発現しているたんぱく質の一種で、がんの進行や予後の悪化に関係していると言われているが、現在、がん治療を対象に承認されているB7-H3を標的とした治療薬はない。
本試験は、日本と米国における再発・進行性の固形がん患者(頭頸部がん、食道がん、非小細胞肺がん等)を対象とした第1/2相臨床試験で、二つのパートからなる。パート1(用量漸増パート)では、約40名の患者を対象に、DS-7300の投与量を段階的に増やしながら安全性と忍容性を評価し、最大耐用量と推奨用量を決定する。パート2(用量展開パート)では、約120名の患者を対象に、推奨用量での安全性と忍容性を評価すると共に、客観的奏効率、奏効期間、無増悪生存期間及び全生存期間を含む有効性を評価する。
DS-7300は、幅広いがん種において患者に新たな治療の選択肢を提供できる可能性を持っており、第一三共では、本試験を通じてその価値を評価し、ADCフランチャイズの開発を加速する方針である。
(Medister 2019年12月2日 中立元樹)
<参考資料>
第一三共株式会社ニュースリリース 抗体薬物複合体DS-7300の固形がん患者を対象とした第1/2相臨床試験開始について