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更新日:2019/09/30

分子標的薬が有効な患者群を遺伝子変異に基づき同定

愛知県がんセンターがん標的治療トランスレーショナルリサーチ分野の衣斐寛倫分野長、国立がん研究センター東病院消化管内科の吉野孝之科長のグループは、米国ハーバード大学、メモリアルスローンケタリングがんセンターとの国際共同研究により、BRAF遺伝子変異を有する大腸がんに対する新たな個別化治療を提唱することに成功した。

大腸がんによる死亡者数は年間5万人程度で、男性のがん死亡の第3位、女性では第1位の原因である。進行・再発の大腸がんに対しては主に抗がん薬による薬物療法が行われるが、抗EGFR抗体薬は細胞表面にあるEGFRと呼ばれるスイッチをブロックし、がん細胞が増えるのを抑制する。一方で、EGFRを抑制しても、別のタンパクに異常があると効果がなくなることも分かっており、治療前にRAS・BRAF遺伝子の異常の有無を検査し、異常がある場合には抗EGFR抗体を使用しないことになっている。最近、多数の遺伝子変異について一度に詳細に検査する遺伝子パネル検査が導入され、BRAF遺伝子にこれまで調べていた異常とは別の異常が大腸がん患者の2-3%に存在することが分かってきた。しかし、新たなBRAF遺伝子異常が見つかったがん患者に対し、抗EGFRを使用するべきかについては、明らかではなかった。

研究グループは、近年遺伝子パネル検査と呼ばれる多数の遺伝子異常を同時に検討する手法が導入されたのに伴い、これまで知られていたBRAF遺伝子変異とは異なるタイプのBRAF遺伝子変異が大腸がんの2-3%に存在することに注目、これらの遺伝子変異を有する大腸がんにおいて、分子標的薬(抗EGFR抗体)が有効か検討することにした。まず、細胞株・マウスモデルを用いた検討からBRAF遺伝子変異を3つのタイプに分類し、このうち1つのタイプでは、抗EGFR抗体が有効な可能性がある知見を得た。このことを実際に抗EGFR抗体で治療された患者で検討することにしたが、今回対象となるBRAF遺伝子変異は頻度が低く、多くの症例が必要であった。そこで、2015年から遺伝子パネル検査を用いて実施されてきた産学連携全国がんスクリーニングプロジェクトであるSCRUM-Japan GI-SCREENの基盤を活用するとともに、米国ハーバード大学およびメモリアルスローンケタリングがんセンターと国際共同研究を行うことで、日米合わせて5000例を超える症例を解析し抗EGFR抗体で治療されたBRAF遺伝子変異を有する大腸がん40例を抽出することに成功した。これらの症例の解析により、抗EGFR抗体が、実際に特定のBRAF遺伝子変異を有する大腸がんでは有効なことを証明した。がん遺伝子パネル検査は本年6月より保険適用となり、今後BRAF遺伝子変異を持つ大腸がんが多く見つかることが予想される。そのような患者に対し、遺伝子変異の種類に応じた個別化医療が可能となることを示した。

本研究により、BRAF遺伝子変異のうちタイプ3に分類される遺伝子変異を有する症例では抗EGFR抗体の効果が期待できることになる。研究グループでは以前にタイプ1の遺伝子変異を有する患者に対し有効な治療法についても報告しており、今回の報告と合わせ、BRAF遺伝子変異を有する患者に対し遺伝子変異より個別化した有効な治療法を提示できるようになると思われる。今後も遺伝子パネル検査で見つかる様々な遺伝子異常に対応した治療法の開発を続ける予定である。
(Medister 2019年9月30日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 分子標的薬が有効な患者群を遺伝子変異に基づき同定 大腸がんの個別化医療につながる発見

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