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更新日:2017/01/30

明細胞肉腫と胞巣状軟部肉腫の医師主導治験を開始

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院は、代表的な希少がんである肉腫の中でもさらに発症頻度の極めて少ない明細胞(めいさいぼう)肉腫と胞巣状軟部(ほうそうじょうなんぶ)肉腫を対象に、ニボルマブの医師主導治験(試験略称:OSCAR)を開始する。本試験は当センターを含む全国4施設(国立がん研究センター中央病院、愛知県がんセンター中央病院、国立病院機構大阪医療センター、岡山大学病院)で実施する予定である。

明細胞肉腫および胞巣状軟部肉腫は極めてまれながん腫であり、これらのがん腫に対する企業主導の新規治療開発は現時点では期待できない状況である。その一方で、いずれのがん腫も既存の治療法による治療成績の向上は難しく、従来と作用機序が全く異なる新規治療薬の開発が強く望まれている。

明細胞肉腫に対しては、手術による完全切除が治癒をもたらす唯一の治療法と考えられてきた。切除不能の場合には、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドライン上でも推奨される薬物療法は存在しておらず、局所療法の適応にならない明細胞肉腫においては緩和療法のみが実施されている。胞巣状軟部肉腫に対しても、やはり手術による完全切除が基本的な治療法になる。切除不能の場合は、分子標的薬であるスニチニブが唯一NCCNガイドラインで推奨されているものの、日本国内ではスニチニブの肉腫への適応は認められていない。同系統の血管新生阻害薬であるパゾパニブの効果が期待されているが、胞巣状軟部肉腫に対する効果については試験ごとで報告されたデータにばらつきがあり、一定の見解を得られていない。したがって、局所療法の適応にならない胞巣状軟部肉腫に対しても基本的には緩和治療のみが実施されているという。

ニボルマブは、わが国を中心にシーズ探索、創薬、臨床開発まで行われてきた薬剤である。これにより、がん細胞のリンパ球機能へのブレーキを解除し、がん細胞に対するリンパ球の攻撃能を高めることでがん細胞を減少もしくは死滅させることができると考えられている。ニボルマブは製薬企業の小野薬品工業株式会社およびブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社により、さまざまながん腫を対象に臨床開発が進められている。第Ⅲ相試験において、悪性黒色腫、非小細胞肺がんおよび腎細胞がんではがんの縮小効果が見られ、いずれも既存の抗がん剤による治療と比較して延命効果が優れていることが示された。また、古典的ホジキンリンパ腫を対象にした第Ⅱ相試験においてもがんの縮小効果が見られた。

ニボルマブの医師主導治験を希少がんの中でも極めて少ない超希少ながん腫で成功させることにより、超希少がんの臨床試験計画や新薬開発手法のモデルのひとつになると期待される。また、本試験で良好な結果が得られた場合、その結果をもって企業による明細胞肉腫と胞巣状軟部肉腫に対する世界初の承認申請を目指す方針である。 (Medister 2017年1月30日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 企業主導開発が困難な超希少がんの臨床試験計画や新薬開発手法の確立を目指す 明細胞肉腫と胞巣状軟部肉腫の医師主導治験を開始 産科と婦人科 Vol.72 No.5 2005年5月 「卵巣明細胞癌を考える」

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