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更新日:2020/12/22

がん患者の免疫状態(ADCC活性)を測定する新手法を開発

国立研究開発法人国立がん研究センター(略称:国がん)は、患者自身の免疫状態 、特に抗体により免疫細胞をがん周囲に呼び寄せ、集まった免疫細胞を活性化する作用(ADCC活性)の新たな測定方法の開発に成功した。

本来、一口に抗体薬を用いたがん治療を行うと言っても、その効き目は患者による個人差が激しく一様ではないのが現実である。その主な理由として挙げられるのが、患者によるADCC活性の違いである。抗体薬というものには、がん細胞の表面に発現する標的抗原(標的分子)に結合し抗腫瘍効果を示す直接的な作用の他に、患者自身の免疫細胞を介して抗腫瘍効果を発揮する作用があるためである。それゆえに、ADCC活性の高い患者であれば抗体薬を用いたがん治療が効率良く進められるのだが、逆にADCC活性の低い患者の場合は抗体薬の効き目が前者よりも劣る。

こういった理由から、患者によるADCC活性の差異を事前に測っておく事は、がんの治療効果を予測する上で重要な鍵となる。しかしながら、従来の放射線同位元素を用いたADCC活性測定法では測定結果が不安定であるため、患者の免疫状態を把握することは困難であり、より正確な測定法の開発が求められていた。

新たに開発したADCC活性測定方法では、予め標的がん細胞に緑色色素を取り込ませて、標的がん細胞(緑色色素を取り込ませたもの)と免疫細胞(緑色色素取り込みなし)を区別できるようにしておく。さらに両細胞について、それぞれ生きている細胞と死滅した細胞を区別できる色素 (Fixable Viability Dye;FVD) で標識し、フローサイトメーターを用いて測定することにより、がん細胞と免疫細胞をそれぞれ別々に、生きている細胞と死んだ細胞に細胞一個単位で区別できるようになった。この手法により、従来のADCC測定法に比べてより情報量が多く、より精細な測定が可能となった。

さらに、この新手法の持つ大きなメリットとして挙げられるのが、凍結保存した検体でも再現性を保って測定可能であることだ。こういったADCC活性測定の新手法の持つメリットが、今後は抗体薬によるがん治療効果予測と、凍結保存検体を用いた多施設共同臨床試験での測定に有効に利用され、抗体薬の効率的な開発につながることが期待されるであろう。
(Medister 2016年2月22日 中立元樹)

<参考資料>
様々な抗体薬の効果予測や臨床開発への利用が期待

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病 (ブルーバックス)
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