更新日:2020/12/22
HPVワクチン接種後症状への手引き 日医が一般にも公開
子宮頸がんワクチンを巡っては、接種後にみられる症状とワクチンとの因果関係は未だに解明されてはいないものの、定期接種が開始されてから間もなく、国は、積極的な呼びかけを中止している。その一方で、ワクチンを接種したことにより、接種後に「全身の痛みが出る」などの報告も続いている。こうした背景があることから、日本医師会と下部組織の日本医学会は、今回の手引書を作成し、広く一般に公開した。
手引き書は、全19ページ、第1章から第3章および参考資料という4部構成になっている。実際の臨床現場での患者との接し方、地域の医療機関との連携の仕方、患者の周囲の人たちとの連携の仕方などがまとめられており、例えば第1章の中には「治療のポイント」として、次のような「患者への説明の仕方」も記載されている。
①痛みなどの症状は神経系の反応であり、原因を特定することが困難であること
②神経系の変調によって起きた痛みであり運動は可能なこと
③人のせいではないこと
④運動などにより筋力を付けていくとたとえ痛みがあっても困らず生活はできるようになるものであることを、繰り返し説明する
折しも、愛知県名古屋市は、接種費用の補助対象だった約7万人を対象とした大規模調査を行うことを発表した。今年9月から始まるこの調査では、接種者と未接種者での発症割合の違いを比べ、その結果を受けて市独自の治療費支援も検討するという。
子宮頸がんワクチンを巡っては、国も調査委員会などを立ち上げているが、未だ明確になっていない部分も多い。今後の動向に、注目していきたい。
(Medister 2015年8月25日 葛西みゆき)
<参考資料>
日本医師会 HPVワクチン接種後に生じた症状に 対する診療の手引き
47NEWS 名古屋市、頸がんワクチンで調査 7万人聞き取り
子宮頸がんワクチン事件