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更新日:2020/12/22

日本人にとって脅威の肺癌 悪性化の新たなメカニズムが発見される

lungs2015年1月20日、国立がん研究センターは「肺がん悪性化の新たな分子メカニズムを解明した」と発表した。この研究成果は、米国科学アカデミー紀要「PANS」に掲載されている。

この研究の背景として、日本人にとって肺癌が未だ脅威の存在であることが挙げられる。最新のがん統計によると、肺癌に罹患する患者数は多いが、2010年の統計では、男性2位、女性5位であり、癌全体でみると1位ではない。しかし死亡者数でみると、男性1位、女性2位であり、男女合わせると1位、2013年だけでおよそ73,000人が肺癌で命を落としていることになる。罹患率が男性の1位である胃癌や、女性の1位である乳癌と比較すると、治りにくい癌であり、死亡リスクが高い癌の1つといえる。
こういった背景から、肺癌が悪化するメカニズムを解明することは、新たな治療法の開発や、生存率を向上させるためには非常に重要とされてきた。しかしこれまでも多くの研究が行われてきたが、未だ不明な点も多かった。肺癌が悪化するには癌抑制遺伝子の1つである「p53」の失活が関係しているところまでは予測されていたが、詳細なメカニズムの解明には至っていなかったのだ。

今回の研究により新たに解明された分子メカニズムは、このp53の失活と、TSPAN12というたんぱく質が関与している。まず肺の細胞が癌化することで、その周囲の細胞は肺癌細胞自体から分泌される因子により、p53が失活し、TSPA12が発現する。すると肺癌細胞との相互作用が起こり、肺癌細胞の増殖や周囲の細胞への浸潤力が増加することが分かった。

今回の研究ではさらに、肺癌悪化を招く因子としてCXCL6というたんぱく質も見つかっている。これら2つのたんぱく質に対する抗体を用いることにより、肺癌細胞の周りの細胞への浸潤を食い止めることも分かった。今後はこれらの研究成果を元にした新しい薬が開発される、既存の抗癌剤を併用することができれば、治療効果が高くなり、肺癌の悪化を阻止することができるのではないかと期待されている。
(Medister 2015年1月26日 葛西みゆき)
<参考文献>
国立ガン研究センター がん周辺の間質細胞が肺がん細胞と相互に作用する 肺がん悪性化の新たな分子メカニズム発見 間質細胞を標的にした新たな肺がん治療法開発へ期待 EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2014年版
EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2014年版

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