2011年12月22日、三重大医学部の山中講師らのグループは悪性黒色腫にアクネ菌を投与すると癌細胞が減少させる実験に成功し論文を発表した(Intratumoral Injection of Propionibacterium acnes Suppresses Malignant Melanoma by Enhancing Th1 Immune Responses[
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0029020])。アクネ菌といえば某アイドル歌手がCMで歌にのせ連呼していたので一般の人にも知られているがにきびの原因菌である。
研究内容としては癌細胞を移植したマウスにアクネ菌を投与し観察したというものである。癌細胞を移植されたマウスの腫瘍部にアクネ菌を2回に分け注射し経過観察を行なったところ最終的に癌細胞はほぼ消滅した。
なぜ癌細胞は消滅したのだろうか。白血球が関与しているという。腫瘍部に注射されたアクネ菌に白血球が抵抗し、腫瘍部に集中した結果癌細胞を壊したのではないかと考察されている。
悪性黒色腫は以前紹介したが癌の中の癌である。年間2000人が発症し生存率、予後ともに最悪な悪性黒色腫であるが現在のところヒトへアクネ菌を直接投与することはできないと山中講師は語る。
今後の課題はアクネ菌のどの部分が悪性黒色腫根治へのキーとなっているかを解明することだ。研究が進み解明されれば悪性黒色腫のみならず癌というものも怖いものではなくなるのかもしれない。
(Medister 2013年7月9日 桐生賢汰)