今回は我々が日々飲んでいるある飲み物と癌の関連性についてのお話だ。緑茶とコーヒー。誰しも一日のうち一回は飲むのではないだろうか。この日本人が愛してやまない二大飲料と膵臓癌の関連性があるのではないかと研究を行ったのが独立行政法人 国立がん研究センター がん予防•検診研究センター予防研究部(以下、がん研)である。研究結果についてはEur J Cancer Prev. 2007年16巻542-548ページ 第66回日本癌学会学術総会にて発表されている。
膵臓癌との関連性といってもこの研究の本質はリスク低下の証明である。確かに筆者も幼少期には祖母にお茶は体に良いと教わった。しかし、今まで証明されてきた訳ではなかった。
がん研発表論文の内容としては国内10ヶ所の保健所管内に住む40歳~69歳までの男女13万人を対象に緑茶とコーヒーと膵臓癌の関連性について11年間追跡調査したというものだ。最終的に10万人が対象となりそのうち233人が膵臓癌を発症した。比率では男性が135人で女性が98人であった。
では、当初の研究テーマであった緑茶とコーヒーと膵臓癌の関連はどうであったのか。緑茶と膵臓癌の関連性は見られなかった。緑茶に坑酸化作用があることは周知されていると思う。坑酸化作用により癌を予防する可能性も取りざたされているなか、初の人を対象とする疫学的な結果は机上や動物研究の結果とは異なり予防されることも、発症を促進することもなかった。
一方、コーヒーと膵臓癌の関連性は証明された。コーヒーを飲んでいた集団は飲んでいなかった集団にくらべ膵臓癌のリスクが減少したという。ただしこれは男性だけに見られた結果である。
今回の論文のなかで緑茶は動物研究とは異なる結果が出た。これは人の遺伝子を考慮しなかった結果であるといえる。コーヒーとの関連性についても同様である。がん研はできるだけ喫煙や飲酒などの生活内の影響を小さくしたがもっと細かなところも考慮しなければならなかったようだ。また、あたらしい結果が出るのを待とう。
(Medister. 2013年06月18日 桐生賢汰)