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更新日:2021/06/04

遺族外来 ー大切な人を失ってもー

『遺族外来 ー大切な人を失ってもー』書評

著者名:大西 秀樹(埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 教授)
出版社:河出書房新社
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大切な人との死別は人生最大のストレスだといわれています。それは医療に携わっている人にとっても例外ではありません。

同著は埼玉医科大学国際医療センターで遺族外来にあたっている精神科医の大西秀樹医師によって書かれました。著者である大西医師自身お父様の急死を経験。胃がんからの奇跡的な生還後だっただけに、その突然の死別にショックも大きかったことが書籍の中で語られます。遺族外来とは何か、そしてその必要性について書かれています。

遺族外来の必要性

埼玉医科大学国際医療センターの遺族外来は、平成19年に同センターが開院したと同時に設置されました。ここは大切な人を亡くしたことによる悲しみのほか、うつ的症状や自ら命を絶つ行為など精神的な問題を抱える人が受診する専門の科です。

死別は本人が意識せずとも心にダメージを受けています。そのため、大西医師の外来を受診する人の中には「死別がこんなにも辛いものだとは思わなかった」とはなす人も少なくないそうです。

大西医師によると、日常生活のストレスを測定した調査から最も大きなストレスの一つが死別であったといいます。だから、死別後に心とからだに問題が起きても不思議なことではないのです。

死別が心に与える影響としてあげられるのが「うつ病」です。人口の3-7%にみられるといううつですが、遺族の場合、死別後7か月目で23%、13か月目でも15%に認められるとのこと。また、特に高齢者のうつ発症の最大の要因であることも知られています。行動面ではアルコールやタバコの消費量が増えるともいわれていますが、必ずしも医療機関への受診につながっているとは限らないと大西医師は指摘しています。

他の専門家との連携も重要

また、遺族は死別後にさまざま問題にも直面します。医療だけでは解決できないことも少なくないといいます。また、遺族は死別後にさまざまな問題にも直面します。医療だけでは解決できないことも少なくないといいます。

そのため、同著の中で大西医師は遺族外来と他の専門家との連携の重要性を強調します。遺族外来に来る人の中には、法律的な問題を抱えている人も少なからずいるからです。

書籍の中でも、配偶者を亡くした女性が夫の会社から退職金の支払に応じてもらえなかったという実例が紹介されています。二度の裁判で敗訴となったものの、大西医師の支援や弁護士の尽力によって三度目でようやく勝訴となったのだそうです。

大西医師が講演などでこういった事例を報告すると、医師がそこまで支援する必要があるのか?といった質問が投げかけられるそうです。しかし、法律家を紹介することで問題が解決したという例もあり、遺族が生きる希望を見出すためにも、大西医師は大切だと語ります。

遺族外来で見えてきたもの

遺族の診療をはじめて二十年近くになるという大西医師。見えてきたものもあります。そのひとつが、人間はどんなに辛い状況にあってもそれに耐えて切り抜ける力を持っているということです。

遺族は自分が抱える苦しみから解放されることを願っています。やっとの思いでたどりついた場所、遺族外来ではそんな患者さんの心に寄り添う姿勢が大切なのです。そのような中で大西医師が大切にしていることが「聴く」ということです。

患者さんの話を「聴ける」ようになるまでには二十年かかったという大西医師。著書の中では「聴く」ことと「聴いてあげる」ことの違いについて解説しています。

患者さんの苦悩に向き合い、ともに問題解決に取り組む姿勢で「聴く」ことが遺族外来では重要なのです。そして、「いつかはこの状況から抜け出すことができる」。そう確信しているからこそ、患者さんの話を「聴く」ことができるのです。

死別は誰にでも訪れるもの。日頃から死別に関する知識を備えておくことが必要だと大西医師はいいます。いつか訪れるそんな日のために、目を通しておきたい一冊です。

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