アジア各国における早期新薬開発拠点間でコンソーシアム構築

国立研究開発法人国立がん研究センターは、中国、韓国、シンガポール、台湾で早期新薬開発拠点(フェーズ1センター)となっている医療機関と連携を強化する覚書を9月14日に締結した。これにより、国立がん研究センターを含めたアジアの5医療機関でコンソーシアム「Asian Oncology Early Phase 1 Consortium」を構築し、早期臨床試験(フェーズ1治験)の共同実施を加速させ、アジアの特性を踏まえた効率的な早期新薬開発を目指すという。

今回のコンソーシアムに参加する医療機関は、日本の国立がん研究センターのほか、中国の香港中文大学医学院及びプリンス・オブ・ウェールズ病院、台湾の国立台湾大学医学院附設医院、シンガポールの国立シンガポールがんセンターと、韓国の国立ソウル大学病院である。

この連携における当面の目標は、第一にアジア地域における主要な早期新薬開発拠点施設間の連携体制及びコンソーシアムの構築を行うこと、次に製薬企業主導・医師主導の別なく、参加機関間で国際共同臨床試験(治験)の機会を相互に共有し、アジア地域での早期臨床試験(フェーズ1)や共同研究を実施すること、さらに各製薬企業に向け、本コンソーシアムの活用を働きかけることである。

本コンソーシアムにより、プラットフォームを用いた国内外製薬企業主導によるアジア国際共同早期新薬開発治験の促進が期待できる。次に、国立がん研究センター医師主導によるアジア国際共同医師主導治験(臨床試験)や共同研究の実施が実現し、国内外製薬企業の早期新薬開発部門とアジアの主要な早期新薬開発拠点(フェーズ1センター)間の連携を強化することが可能となる。また、アジアにおけるがん早期新薬開発から後期開発(アジア国際共同治験)への橋渡し展開を将来的視野に入れたコンソーシアムの包括的展開も期待される。さらにアジアにおいては、ゲノム医療促進・希少がん新薬開発における連携の模索、臨床試験をめぐる薬事規制要件および倫理審査委員会体制等の差異に関する調査研究および情報収集体制の充実、そして主要な早期新薬開発拠点施設間における若手研究者・支援部門等の人的交流の促進も期待される。新薬開発により、各国国民の保健福祉の充実・東アジアの産業発展に貢献することも可能であろう。

今回の取り組みに関し、国立がん研究センター企画戦略局長で中央病院副院長の藤原康弘氏は、「胃がんや肝臓がん、胆道がんなどはアジア人で多く発症します。そのようながんでは、欧米が主導するものではない、アジアが主導する、アジアに合った創薬開発の振興が必要です。アジア各国の一流の医療機関だけで構成された臨床試験グループで国際共同試験(治験)を行っていくことには、大きな意義があります」とコメントし、本コンソーシアムによるアジア諸国の国際的貢献に強い期待を示している。
(Medister 2017年12月04日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター アジア各国における早期新薬開発拠点間でコンソーシアム構築
アジアの特性を踏まえたがん新薬開発を目指し始動

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