切除不能な進行大腸がんに対する新治療 「TAS-102とベバシズマブの併用療法」の有効性を確認

国立研究開発法人国立がん研究センター(略称:国がん)東病院消化管内科長吉野孝之を研究代表者として、国がんの東病院臨床研究支援部門が主導する共同研究グループは、既存の標準治療後に抵抗性となった大腸がん患者に対して、TAS-102 (トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)とベバシズマブを併用して投与する医師主導治験を実施した。その結果、TAS-102のみを投与した過去の臨床試験の治療成績と比較して、生存期間の延長及びがんの進行抑制が認められたことを確認した。

現在、日本では年間に約13万人が大腸がんを発症(2012年)し、約5万人が大腸がんで死亡(2015年)している。大腸がんの治療成績は年々向上しているものの、がんから遠く離れたリンパ節や肝臓、肺などの他臓器に転移のあるステージ4の場合、5年生存率が10~15%と未だ治療成績は不良である。最近の抗がん剤治療の進歩でステージ4の成績は徐々に改善しているが、治療効果はまだ十分でなく、より有効な新しい治療法の開発が期待されてきた。

2014年2月~2014年7月に、標準治療に対して抵抗性となった大腸がん患者25名がTAS-102とベバシズマブの併用療法を受けた。TAS-102とベバシズマブの併用療法を受けた大腸がん患者さんの約70%に、がんの増大を抑制する効果が認められ、その効果は中央値で約5.6カ月の間、持続することが分かった。副作用についても忍容可能であり、比較的安全であると考えられた。

このようにして、今回の結果で、標準治療に対して抵抗性となった大腸がん患者に、TAS-102とベバシズマブの併用療法が有効であることが世界で初めて示された。TAS-102とベバシズマブの併用療法は切除不能な進行大腸がんの新しい治療法になることが期待される。現在、さらに大勢の患者を対象に効果や安全性を検証する臨床試験が計画されているという。また、国がんでは標準治療のより早い段階でTAS-102とベバシズマブの併用療法の有効性を検証する臨床試験も計画中であり、この新たな治療法を患者らの元へ少しでも早期に届けることを目指していく方針である。
(Medister 2017年8月21日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 切除不能な進行大腸がんに対する新治療 「TAS-102とベバシズマブの併用療法」の有効性を確認 ─切除不能な進行大腸がんの新たな治療法になる可能性─

戦国武将とがん

書評

がんの種類