難治性小児悪性固形腫瘍患者を対象にPARP阻害剤オラパリブ錠の安全性を確認する医師主導治験(第 I 相試験)を開始します

国立大学法人東京医科歯科大学医学部附属病院・大学院医歯学総合研究科茨城県小児周産期地域医療学講座の高木正稔准教授らのグループは、国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院との共同で、難治性小児悪性固形腫瘍患者を対象としたPARP阻害剤オラパリブ錠の安全性及び忍容性を評価し、第 II 相試験の推奨用量を決定する医師主導治験(第 I 相試験)を開始した。

標準治療に抵抗性の難治性小児悪性固形腫瘍の予後はがん種を問わず不良であり、長期生存はほとんど期待できないという。このため幅広いがん種に効果が期待できる新規薬剤の開発が重要とされている。この薬剤の一つに、DNA修復機構を標的とした治療薬の一つにポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤であるオラパリブがある。

オラパリブは、革新的なファースト・イン・クラスのPARP阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する。本剤はEUおよび米国の規制当局によりBRCA遺伝子変異陽性卵巣がんの治療薬として承認されている。オラパリブは、本邦では未承認である。

東京医科歯科大学小児科の高木正稔准教授らの研究グループは、難治性小児悪性固形腫瘍の一つである神経芽腫の約半数にDNA損傷修復応答機構にかかわる遺伝子に異常を認め、DNA損傷修復を標的としたPARP阻害剤オラパリブが有用である可能性を発見した。神経芽腫の約6割は生命予後が不良な新規治療法の開発が強く望まれている。そこで、今回、東京医科歯科大学と国立がん研究センターが協力し、神経芽腫を含む難治性小児悪性固形腫瘍を対象に、PARP阻害薬であるオラパリブ錠の安全性を確認する医師主導治験(第 I 相試験)を実施する。

本治験の概要としては、PARP阻害剤オラパリブが難治性小児悪性腫瘍の治療薬になる可能性を検証するため、難治性小児悪性固形腫瘍を対象としてその安全性を確認する医師主導治験(第 I 相試験)を実施する。対象は3歳から18歳の小児悪性固形腫瘍のうち2種類以上の化学療法レジメンを行った後に腫瘍が残存する患者である(造血器腫瘍、脳腫瘍は除く)。治験薬は錠剤のため錠剤が飲める患者が対象となる。

本治験の結果により、小児においてオラパリブの安全性を確認し、有用性を検討するための第 II 相試験実施へとつなげ、小児難治性固形腫瘍に有効な新規治療法が提供されるようになることが期待されるであろう。
(Medister 2017年8月1日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 難治性小児悪性固形腫瘍患者を対象にPARP阻害剤オラパリブ錠の安全性を確認する医師主導治験(第 I 相試験)を開始します

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