AIを活用したリアルタイム内視鏡診断サポートシステム開発 大腸内視鏡検査での見逃し回避を目指す

国立研究開発法人国立がん研究センターと日本電気株式会社は、人工知能(AI)を用い、大腸がん及び前がん病変(大腸腫瘍性ポリープ)を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するシステムの開発に成功した。

大腸の場合、通常“がん”は前がん病変であるポリープから発生することが明らかとなっており、人間ドックや大腸がん検診で発見された場合は、積極的に内視鏡的摘除が行われている。実際に米国では、1993年に報告されたNational Polyp Studyと2012年に報告されたそのコホート研究の結果から、大腸腺腫性ポリープを内視鏡的に摘除することが大腸がんの罹患率を76%~90%抑制し、死亡率を53%抑制したことが明らかにされている。従って、このポリープを内視鏡検査時に見逃さないことが重要であるが、肉眼での認識が困難な病変や発生部位、医師の技術格差により24%が見逃されているという報告もある。また別の報告では、大腸内視鏡検査を受けていたにもかかわらず、後に大腸がんに至るケースが約6%あり、その原因は内視鏡検査時の見逃し(58%)、来院しない(20%)、新規発生(13%)、不十分な内視鏡治療による遺残(9%)が挙げられている。

今回開発された本システムでは、国立がん研究センター中央病院 内視鏡科による所見が付けられた約5,000例の内視鏡画像をNECのAI技術に学習させた。本AI技術を用いて新たな内視鏡画像を解析したところ、前がん病変としてのポリープと早期がんの発見率は98%という結果となった。

また、大腸内視鏡検査に今回新たに開発したシステムを活用することにより、従来は認識することが困難であった病変を発見しやすくなることが期待される。特に平坦な病変発見が困難な口側の大腸において効果が見込める。検査の質について見ても、AIが人間の視覚をサポートすることにより、より多くの大腸腫瘍性ポリープを発見し、発見率が従来より向上することが期待される。このポリープ発見率は大腸内視鏡検査の質を示すパラメーターの一つとして知られており、内視鏡医の検査の質を向上させることが期待できる。さらに、大腸内視鏡検査の経験が浅い医師なども、肉眼で発見したポリープ以外に、AIが指し示す部位があればその部位をよく観察することができるため、内視鏡医の負担の軽減にもつながるという。

今後さらに、国立がん研究センター中央病院と研究所が連携し、肉眼での認識が困難な平坦・陥凹病変をAIに学習させシステムの精度を上げ、臨床試験を行った後、日本のみならずグローバルでの実用化を目指す方針である。
(Medister 2017年7月18日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター AIを活用したリアルタイム内視鏡診断サポートシステム開発 大腸内視鏡検査での見逃し回避を目指す

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