小腸腺がんに対する術後化学療法の再発予防効果を検証する世界初の国際共同第III相臨床試験開始

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院は、根治手術後の小腸腺がんの再発予防効果を検証する世界初の国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施する。

小腸腺がん(ファーター乳頭部がんを除く十二指腸原発腺がん・空腸原発腺がん・回腸原発腺がん)は、同じ消化管原発の腺がんである胃がん・大腸がんに比べて悪性度が高く、予後不良な疾患と考えられており、手術で完全に摘出できたとしても約半数の患者が再発してしまうとされている。特に空腸・回腸から生じるものについては、検診で発見されることは非常に稀であり、腹痛や出血などを契機に診断されるため、かなり進行した状態で発見されることが多い。また、小腸腺がんは世界的にも年間発症数が人口10万人に対し0.22-0.57人とされる希少ながんでもある。

本試験は、希少がんの治療開発を目的とした国際的な臨床試験コンソーシアムInternational Rare Cancer Initiatives(IRCI)と共同で行うもので、また国立がん研究センター中央病院臨床研究支援部門が直接支援する研究班の集合体である日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group: JCOG)が計画・立案した第III相ランダム化比較試験である。まずは、未承認薬や適応外薬の投与・管理体制が整っており臨床研究中核病院でもある国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)で開始し、その後、当センター東病院(千葉県柏市)など全国のJCOG大腸がんグループ/肝胆膵グループ約20施設で順次登録開始となる予定である。6年半の期間で150名の患者が参加することが目標とされている。

今回の試験で検証を行うのは、手術で完全に摘出された小腸腺がんに対するカペシタビン内服投与およびオキサリプラチン静脈内投与の併用療法(CAPOX療法)の再発予防効果で、現在の標準治療である手術単独(術後無治療経過観察)とランダム化して比較する信頼性の高い臨床試験である。CAPOX療法は、大腸がんや胃がんの再発予防における有効性が確認されている。一方、小腸腺がんにおいては信頼性の高い臨床試験は実施されておらず、薬事承認がされている薬剤は存在しないという。今回の試験は、先進医療制度下での「先進医療B」を適用することで、小腸腺がんに対する未承認薬を用いた医師主導型臨床試験として実施する。

本試験の結果により、日本のみならず世界中の小腸腺がんの患者へ術後再発予防に関する有効な治療が提供されるようになることが期待されるであろう。
(Medister 2017年6月12日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 小腸腺がんに対する術後化学療法の再発予防効果を検証する世界初の国際共同第III相臨床試験開始

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