小児急性リンパ性白血病第一再発の高リスク群対象 医師主導治験全国9施設で開始

国立研究開発法人国立がん研究センター(略称:国がん)中央病院は、小児の急性リンパ性白血病の第一再発例の高リスク群の患者を対象に分子標的薬を含む多剤併用寛解導入療法の医師主導治験(第II相試験)を実施することを発表した。

急性リンパ性白血病は、リンパ球の元となる細胞(リンパ芽球)ががん化した白血病で、小児がんの中では最も多く、年間約500例の小児が発症するという。治療はリスクに応じて、複数の抗がん剤を組み合わせた化学療法をはじめ、造血幹細胞移植、放射線治療が行われることもある。初発例の治療成績は年々上昇しており、5年生存率は80%を超えているが、再発例、特に今回の治験を行う高リスク群の予後は不良で新しい薬剤開発が待たれているのが現状である。

新しい薬が承認され、保険で使えるようになるためには新薬の開発研究(治験)が必要であるが、2003年7月に医師や歯科医師が治験を企画して医薬品開発にかかわることが認められるようになった。このように医師や歯科医師が自ら治験を実施することを医師主導治験という。抗がん剤はその適応が細かく厳しく定められている。あるがん種に効くであろうことが分かっている薬剤でも、適応外であれば使うことができない。そこで国がんでは、医師主導治験を積極的に行い、抗がん剤をはじめとする薬剤の適応を広げる取り組み推進している。

本治験の対象は、小児急性リンパ性白血病の1回目の再発の患者のうち、高リスク群の患者である。高リスク群とは、T細胞性リンパ性白血病の骨髄再発と、B前駆細胞性リンパ性白血病のうち初めての発症(初発)から短い期間に骨髄再発をきたした患者となる。高リスク群では欧米で再発小児急性リンパ性白血病の標準治療として開発された従来からの薬剤の組み合わせによる治療では寛解率も不良であり、この群に対しては有望な新規薬剤も存在しないのが現状である。今回、国がんではボルテゾミブと従来から使用される多剤併用療法の組み合わせが、再発リンパ性白血病の高リスク群に対する有効な新しい治療選択肢となる事を期待して医師主導多施設第II相試験を開始した 。

本治験において、ボルテゾミブを加えた多剤併用療法での再発小児急性リンパ性白血病に対する有効性が証明できれば、ボルテゾミブの再発小児急性リンパ性白血病に対する適応拡大につながり、治療選択肢の少ないこの群に対する重要な選択肢の一つとなる可能性が生まれることが期待できる。
(Medister 2017年3月5日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 小児急性リンパ性白血病第一再発の高リスク群対象 医師主導治験全国9施設で開始

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