松村保広博士が「トムソン・ロイター引用栄誉賞」受賞

国立がん研究センターの松村保広新薬開発分野長が、2016年の「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を授与することが発表された。

松村保広博士は、1981年に熊本大学医学部を卒業したのち、同微生物学教室大学院で医学博士号を取得し、米国と英国での留学経験を得たのちに国立がん研究センターへ就職し、現在も研究を続けている。

主な研究業績としては、がんと血液凝固の研究及び抗体研究が挙げられる。前者においては、松村博士はEPR効果の発見とその作用機序としての内因系凝固亢進の副産物Hyp3-Bradykininの発見を成し遂げた。また、不溶性フィブリン上の凹み構造の発見と、その抗体の樹立。CAST(Cancer Stromal Targeting)療法の提唱もしている。後者においては、CD44変異体V2の発見とその抗体樹立を成し遂げ、さらに新規大腸がん特異分子の発見とその抗体樹立及びヒト化抗体の作製も行っている。

2005年には日本DDS学会永井記念賞を受賞し、2006年には国立がんセンター田宮記念賞を受賞、さらに2011年には科学研究費審査日本学術振興会表彰も受けている。

今回松村博士が受賞したトムソン・ロイター引用栄誉賞は、トムソン・ロイターが保有する世界最高水準の学術文献・引用データベース「Web of Science」上で被引用数の各分野上位0.1パーセントにランクする研究者から選出され、ノーベル賞の科学系4賞(医学・生理学、物理学、化学、経済学)と同カテゴリにおいて、特に注目すべき研究分野で卓越した成果を持つ研究者が選ばれるものである。受賞となった松村の論文で最も被引用された“A new concept for macromolecular therapeutics in cancer chemotherapy: mechanism of tumoritropic accumulation of proteins and the antitumor agent smancs”(1986年12月:Cancer Research発表)では、EPR効果(enhanced permeability and retention)について発表している。この研究成果により、現在松村博士が注力している、がんと血液凝固の研究、抗体開発、抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate: ADC)の設計開発につながる一端となった。

今回の受賞に当たって、松村博士は「今回の受賞を誇りとし、私どもの抗体医薬が患者さんの役に立つことを証明するまで、研究開発に全力を尽くします」とコメントしている。
(Medister 2016年9月26日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 松村保広博士が「トムソン・ロイター引用栄誉賞」受賞

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