ALK陽性肺がんに対する治療薬耐性の原因を発見

lungsがん研究会とマサチューセッツ総合病院(MGH)がんセンターの研究グループは、ALK陽性肺がんに対する次世代ALK阻害薬セリチニブ(Ceritinib)(米国・欧州で承認されており、本邦では承認申請中)に対する耐性を引き起こす原因として、新たに薬剤排出トランスポーターの1つであるP糖たんぱく質(ABCB1)の過剰発現がセリチニブのがん細胞外への排出を促進し、セリチニブ耐性を起こしていることを発見した。

ALK陽性肺がんとは、若年者に多く見られると云われている肺がんである。本来肺がんという病気は、高齢者でしかも煙草を吸う人に多く見られるとされてきた。その一方で、若年層で喫煙者でないにもかかわらず肺がんに罹る症例がかなりの割合で見られているという。長らくその原因は謎に包まれていたのだが、近年になってALK融合遺伝子という遺伝子が若年者のそのような肺がんを起こす原因遺伝子であることが突き止められたため、ALK陽性肺がんと呼ばれるようになった。

現在の所、ALK陽性肺がんの治療薬として米国及び欧州ではセリチニブという薬が承認されて広く使われており、日本でも現段階でセリチニブを承認申請中である。元々ALK陽性肺がんは薬剤耐性を獲得するのが早いがんであるため、今日本で使われている様々な薬剤を用いて治療を行っても、数年以内に耐性を持ったがん細胞が出現するため、肺がんが再発してしまうという大きな問題があった。セリチニブに関しても同様に薬剤耐性を獲得したがんが出現するため、同研究チームはALK陽性肺がんのセリチニブ耐性獲得の原因を突き止めるための研究を本格的に行ってきたのだ。

その結果、P糖たんぱく質がセリチニブをがん細胞外に排出するという形でALK陽性肺がんのセリチニブ耐性を助長していることが明らかになったため、同研究チームは、今後より能率の良いALK陽性肺がん治療のための改良策として、P糖たんぱく質阻害剤とセリチニブの併用療法や、P糖たんぱく質による排出の影響を受けにくいALK阻害薬アレクチニブ(本邦で2014年に承認)などの使用を行う事が有効である、との見解を示している。

また、今後さらに多くのALK陽性肺がん治療薬が開発されることが予測されるが、免疫染色法なども用いてP糖たんぱく質の発現を検索することもまた、より効果的な治療法の選択に役立つものと期待されている。 (Medister 2016年2月29日 中立元樹)

<参考資料>
がん研究会 ALK陽性肺がんに対する治療薬耐性の原因を発見 ~より効果的な治療法の選択へ道~

最先端治療 肺がん (国がん中央病院がん攻略シリーズ)<
最先端治療 肺がん (国がん中央病院がん攻略シリーズ)

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