別の工場でも6人が膀胱がん 厚生労働省の緊急調査より

2016年1月21日、厚生労働省は「芳香族アミンの取扱事業場に関する調査結果等について」を公表した。これによると、別の4工場で合計6名が膀胱がんを発症していたことが分かった。問題の発端は、染料や顔料の原料を製造する三星化学工業(本社:東京)の福井市内の工場に勤務していた男性従業員ら5人が、膀胱がんを相次いで発症し、労災認定を要請したことにある。この5人はいずれも、発がん性が指摘されている「オルトトルイジン」と呼ばれる化学物質を取り扱っていたことが分かっている。この労災申請を受け、厚生労働省は今回、緊急調査を行った。

厚生労働省が公表した調査結果によると、「オルトトルイジン」を扱っている、あるいは過去に扱った可能性のある事業所などに対し、現在の「オルトトルイジン」の使用状況や、従業員や退職者の中で膀胱がんを発症しているかどうかの聞き取り調査を行った。その結果、現在も「オルトトルイジン」を扱っているのは17ヶ所、過去に「オルトトルイジン」を扱っていたのは10ヶ所、「オルトトルイジン」を取り扱ったことがないのは11ヶ所だった。このうち、「オルトトルイジン」を含有する製剤を使用した塗装等を行う事業場2か所で、それぞれ1名(計2名)が膀胱がんを発症していることが分かった。さらに、その他の事業所で退職者を含む計4名が、同様に膀胱がんを発症していた。

ただし、この6人の中には、「オルトトルイジン」への暴露の可能性がある製造工程には従事した経歴が確認されていない者も含まれており、当該労働者等の暴露作業の従事歴の有無(オルト-トルイジンの取扱いの有無等も含む)、暴露の状況、発症時期等を確認するとともに、発生原因についての調査を、引き続き行うこととしている。
一方、厚労省所管の独立行政法人「労働者健康福祉機構」は、職業性ぼうこうがんに関する健康相談ダイヤルを設置し、従業員や家族らの相談を受け付けている。
(Medister 2016年1月29日 葛西みゆき)

<参考資料>
芳香族アミンの取扱事業場に関する調査結果等について 厚生労働省

同上 別添資料 芳香族アミンの取扱事業場に関する調査結果等について~第一報(平成 28 年1月 21 日時点)~

膀胱癌診療ガイドライン〈2015年版〉
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