名古屋大病院 肺がんを3年に渡り見落とし、患者死亡

lungs2015年12月21日、名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区、以下 名大病院)は、術後フォローで泌尿器科へ通院していた患者に対し、原発性の肺がんを、主治医や放射線科医が3年にわたって見落とし、治療が遅れて死亡したと発表した。複数の外部専門家を主体とする事例調査委員会による調査検討を行った結果、病院長である石黒直樹氏は「医療ミス」であることを認め、遺族に謝罪する一方、賠償する方針も明らかにした。
今回亡くなったのは、愛知県内の40代男性。2007年5月に、他院での左腎癌腹腔鏡下根治的腎摘除術を受けた。その後の2007年6月から、将来の他器官への転移の有無を調べる目的で、名大病院に通院していた。
およそ半年に一度、名大病院でCT検査を受けていたが、一次読影に関与した医師(計9名)及び二次読影医(計2名)、主治医である泌尿器科外来医師(2名)ともに、肺の異常に気付かず、報告書には記載がなされなかった。男性は胸に痛みを感じていたため、2012年5月に別の病院を受診し、肺がんと診断された。2012年6月には名大病院へ報告があり、精査の後に原発性肺がんであることが判明した。しかし、既に肺がん根治の可能性を逸しており、2014年3月に死亡した。
患者の死後に設置された事例調査委員会は、2009年5月には肺がんの可能性に気づくことができたこと、この時点では肺がんのⅠA期と思われる画像が残っていることから、その当時に手術を行えば、5年後の生存率は80%を超えていたと結論付けた。

見落としの原因としては「主治医がCT画像の診断を放射線科に委ね、自らチェックしなかった」ことをあげた。さらに、今回の肺がんは見落としやすい部分にあったこと、陳旧性炎症所見が散在していたこと、撮影および報告依頼の内容が腎がんの転移チェックであったことなどから異常部分を原発性肺癌の初期像と認識できなかった可能性などを指摘しており、診療体制の改善を求めている。
(Medister 2015年12月22日 葛西みゆき)

<参考資料>
名古屋大学付属病院 腎癌術後フォロー中、原発性肺癌進行の発見が遅れた事例について

同上 「腎癌術後フォロー中,原発性肺癌進行の発見が遅れた事例」の事故調査報告書を受けて

同上 腎癌術後フォロー中,原発性肺癌進行の発見が遅れた事例について調査報告書の概要

最先端治療 肺がん
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