魚介類およびn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)と膵がんとの関連

99f6d5234a7b793328d1a52f8dc88bec_s2015年12月8日、国立がん研究センターは、多目的コホート(JPHC)研究による「魚介類およびn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)と膵がんとの関連を検討した成果」を公表した。この研究により、魚介類に多く含まれるn-3 PUFA(エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)の総量、以下魚介類由来n-3 PUFA)、およびDHA摂取には、膵がん罹患リスクの低下との関連がみられ、膵臓がん予防に寄与する可能性が示唆されたという。

膵臓がんに対しては現在のところ、たばこ、肥満、糖尿病、慢性膵炎などとの関連が報告されている。また、これまで多くの疫学研究において、膵臓がん予防に効果が期待される「食事要因」が検討されてはきたが、未だ明確な答えは出ていない。
そこで今回の研究では、魚の摂取量が欧米諸国よりも比較的多い日本人集団において、魚介類、n-3 PUFA摂取量と、膵臓がん罹患との関連について調査を行った。

今回対象となったコホート研究は、1990年と1993年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2014年現在)管内に居住する住民のうち、1995年と1998年にアンケート調査に回答した45~74才の男女約8万2千人が対象。その後、2010年末まで追跡した調査結果に基づき、魚介類、n-3 多価不飽和脂肪酸(PUFA)摂取量と膵がん罹患との関連を調べた結果を、American Journal of Clinical Nutritionに発表した。

結果として、追跡期間中に449例の膵がん罹患が確認された。解析の結果、魚介類由来n-3 PUFA摂取量の最小グループに比べ最大グループで約20%、膵臓がん罹患リスクの低下を認めたが、統計学的に有意ではなかった。次に、追跡開始3年以内に膵臓がんと診断された被験者を除外して解析したところ、魚介類由来n-3 PUFA、DHAそれぞれ摂取量最小グループに比べ、最大グループで約30%、統計学的有意に膵臓がん罹患リスクの低下が認められた。

この結果より、魚介類由来n-3 PUFA、DHA摂取により、膵臓がん予防に寄与する可能性が示唆された。
(Medister 2015年12月9日 葛西みゆき)

<参考資料>
国立研究開発法人 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター2015/12/07 魚介類およびn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)と膵がんとの関連

同上 魚介類、n-3多価不飽和脂肪酸摂取と膵がん罹患との関連について

Fish, n-3 PUFA consumption, and pancreatic cancer risk in Japanese: a large, population-based, prospective cohort study.



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