白血病の発症と排気ガスの関係とは フランスの統計より

hong-kong-cars-14478782015年10月15日、アメリカの疫学系雑誌「American Journal of Epidemiology」にて、小児白血病と、自動車の出す排気ガスとの関連性についての研究データが公表された。
この研究は、過去にフランス全国で行われた調査データより、白血病の子ども2,760人(急性リンパ性白血病(以下、ALL)2,275例、および急性骨髄芽球性白血病(以下、AML)418例を含む)と、白血病ではない子ども30,000人との比較を行ったもの。子どもたちの住所と、主要道路との位置関係とを計算し、白血病を発症する頻度について、統計解析が行われた。

公表されたデータによると、居住地から150m以内にある主要道路の長さが300m増すことと、AMLの発症との間に有意性が確認された(オッズ比1.2、95%信頼区間1.0-1.4)。その一方で、ALLとの関連しは確認されなかった(オッズ比1.0、95%信頼区間0.9-1.1)という。この関連性は、イル=ド=フランス地域において、自動車の排気ガスに含まれる、ベンゼン濃度の推定値との組み合わせによって、より強く見られたという。

地域によっては、ベンゼン以外にもこれらの疾患と関係する要素が、違っていた可能性もあるため、今回の結果のみで「ベンゼンが白血病発症のリスクになる」とは断言できないのは事実だが、小児白血病の発症に対し、ベンゼンが何らかの形で関与している仮説を導き出すことで、発病メカニズムの解明と、予防法に対する研究の手掛かりになる可能性は、秘めている。

日本では、胃がん、肺がん、大腸がんなどと比較すると、白血病の罹患率は高くはない。2013年の死亡者数は、男女合わせても8千人あまりと、死亡原因としても多い方とは言えない。しかし、白血病はそもそも、小児に生じるがんの40%を占めており、元々持っている遺伝子のタイプによっては、予後が不良となることが分かっている。
しかし、今回の研究は、未来のある子どもたちの健康を考える上で、1つの道筋を示した可能性がある。今後の研究に期待したい。
(Medister 2015年10月21日 葛西みゆき)

<参考資料>
American Journal of EpidemiologyResidential Proximity to Heavy-Traffic Roads, Benzene Exposure, and Childhood Leukemia?The GEOCAP Study, 2002-2007

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