成人T細胞白血病リンパ腫、遺伝子異常を解明 がんセンター等の研究チーム

GUM06_CG010162015年10月6日、国立がん研究センター(東京都中央区)は、「成人T細胞白血病リンパ腫における遺伝子異常の解明」を公表した。
この研究は、京都大学大学院、宮崎大学、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター、国立がん研究センター研究所、京都大学ウイルス研究所、東京大学大学院新領域創成科学研究科などを中心とした、大規模な研究チームによるもの。厚生労働省および日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的がん医療実用化研究事業」、国立がん研究センター研究開発費などの支援により行われ、研究成果は、2015年10月5日付の国際科学誌「Nature Genetics」電子版にて公開されている。

今回の研究では、約400例の成人T細胞白血病リンパ腫(以下、ATL)症例に対して、大規模な遺伝子解析を行ったことで、ATLの遺伝子異常の全貌を解明できたという。PLCG1、PRKCBをはじめとした機能獲得型変異、CTLA4-CD28、ICOS-CD28 などの融合遺伝子、CARD11、IKZF2 などの遺伝子内欠失からなり、これらの異常により正常なT細胞の機能が障害される結果、T細胞のがん化が生じてATLの発症に至ることが示唆された。
遺伝子解析にあたっては、全エクソン解析・全ゲノム解析・トランスクリプトーム解析などの次世代シーケンサーを用いた解析、マイクロアレイを用いたコピー数異常やDNAメチル化の解析等を、組み合わせて行われた。この大規模なデータ解析は、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターと共同で、スーパーコンピュータ「京」を利用した。

ATLは日本人に多く、現在有効な治療手段が限られていることから、日本がその解明と克服に中心的な役割を担うべき重要な疾患だといわれている。
本研究の成果により、ATLの病気の仕組みの解明に大きな進展や、ATL克服に向けて、診断や治療の分野に大きく貢献するという。今回初めて見出された異常の多くは、大変頻度も高く、また分子創薬の標的として好都合な特性を備えていることから、今後は、新規診断技術、治療薬剤の開発が期待されている。
(Medister 2015年10月8日 葛西みゆき)

<参考資料>
国立がん研究センター プレスリリース 成人T細胞白血病リンパ腫における遺伝子異常の解明

Integrated molecular analysis of adult T cell leukemia/lymphoma

実験医学 2015年9月号 Vol.33 No.14 最新 がん免疫療法〜抗PD-1抗体,CAR-T細胞療法から,Neoantigenを標的としたがん制御機構まで
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