更新日:2020/12/22
味の素が膵臓がん検診? アミノ酸の変動を捉え、がんリスクを判定
味の素の研究開発部門では、「アミノインデックスR」という、健康状態や疾患リスクを判定する解析サービスを提供している。これは、血液中のアミノ酸濃度の測定により、代謝バランスの変化を捉え、その結果として特定の疾患である可能性を判定する。例えばがん以外の疾患、糖尿病や高血圧、アルツハイマーなどでも、血中アミノ酸濃度に特徴的な変動が起こるという報告がある。
味の素では2011年から「がんスクリーニングサービス」として、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん(男性のみ)、乳がん(女性のみ)に対して、アミノインデックスRの提供を行っている。2012年には子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどへも適応を拡大しており、今回、さらに膵臓がんへの適応を拡大したことになる。
膵臓がんはそもそも、罹患率に対しする死亡率が高い。罹患率は60歳代から増加する。死亡率は、男性の方が女性よりも1.6倍高いと言われ、毎年3万人以上が膵臓がんで死亡している。5年生存率は7%程度であり、他のがんと比較しても著しく低い。自覚症状に乏しく、早期発見が難しいことから、膵臓がん早期発見につながる技術の開発が、大きな課題とされていた。
現在のところ、このアミノインデックスRで、疾患の確定診断が行われるものではない。あくまでその可能性を判定するものではあるが、早期発見、早期治療につながる、1つの手がかりとなり、すでに臨床現場での活用も始まっているという。2015年6月現在、味の素のサイトからは、全国で80以上の導入医療機関が検索できる。
(Medister 2015年6月16日 葛西みゆき)
<参考資料>
味の素株式会社 アミノインデックスR
同上 早期がんもチェック! がんリスク検査「AICS」
同上 AICS分科会 AICSを導入している医療機関
膵癌化学療法キードラッグエビデンスブック