印刷業の化学物質による胆管癌発症 初の専門研究拠点を開設

7ac8ad3659b43c06bb776cb157515f58_s2015年3月7日、NHKは印刷会社の従業員が相次いで胆管癌を発症した問題を受け、大阪市立大学が来月から、専門の「職業性胆管癌臨床・解析センター」を設けることを決めたと公表した。全国の患者の検査データや、癌の画像などを集めて詳しい原因を調べるとともに、新たな診断法や治療法の開発にも取り組むとしている。

この問題は、2010年頃までさかのぼる。大阪労働局管内の印刷事業場で、インクの洗浄作業等に従事した労働者等から、使用した有機溶剤等の化学物質が原因で胆管癌を発症したという労災請求があり、これが全国規模で大きく報道されると、他の地域の労働局でも胆管癌に関係する労災請求がなされるようになった。
これを受け、厚生労働省では2012年9月6日から「印刷事業場で発生した胆管癌の業務上外に関する検討会」を定期的に開催し、その原因究明と労災請求に関係する医学的事項などの検討を行ってきた。さらに、2012年度には国立がん研究センターが中心となり、この問題の原因究明に関する研究も行われていた。
その結果、2013年3月には、印刷事業場で使用する化学物質「ジクロロメタン又は1,2-ジクロロプロパン」と、胆管癌発症の因果関係を認めた。問題となった事業場では発症年齢・死亡年齢ともに極めて若いこと、発症したのはすべて男性であり、発症者と同等の期間、同様の業務を担当した女性従業員がいなかったことなどを、その背景として公表している。

大阪市立大学では2010年頃から、厚生労働省科学特別研究を行っており、2012年8月には附属病院内に胆管癌特別外来を開設している。
しかし、この問題は、大阪に限ったことではない。2013年2月末までには、宮城・福岡・その他の地域で、計64件(うち39件は請求時既に死亡)の労災請求がなされている。また、印刷事業場だけではなく、他の職業でも化学物質のばく露による健康被害は、今後増える可能性もある。“自分の身は自分で守る”ことが重要となる。
(Medister 2015年3月11日 葛西みゆき)

エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン
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