超音波を一点に集めて熱を集中させるHIFU 骨転移による痛みにも有効か

d4155024e7012a01f46dbae012e4fb54_mイギリスの癌研究所を中心とした研究グループが、高密度焦点式超音波(以下、HIFU)による、骨転移による「痛み」の改善に対する研究を行っている。2015年1月21日に、癌研究所のホームページで、研究の進捗状況を公表した。
これによると、今回の研究には、5人の患者が参加している。いずれも骨への癌転移により、耐え難い痛みに耐えてきた患者たちだ。一番最初に研究に参加した患者は「この研究に参加したことは私に多くのことを意味している。痛みをコントロールすることを助け、私のQOLに影響を与えている。このような研究は非常に重要であると考えているし、この研究に参加する機会を与えてくれた医師にとても感謝している」と述べている。

HIFUと呼ばれるこの技術は、超音波を一点に集めて熱を集中させ、ターゲットとなる部分を高熱で焼いて破壊する。例えていうなら「虫眼鏡で日光を集めて紙を焼く」のと同じだ。今回の研究では、骨転移による痛みが対象となるため、癌細胞が痛みを生じさせている、骨内部の神経線維に対して熱を集中させ、ピンポイントで破壊していることになる。

HIFUという技術は比較的新しいものだが、日本ではすでに前立腺肥大症の治療などに応用されている。前立腺肥大症では保険適応だが、癌治療後の成績などを審査中のため、前立腺癌では保険適応とはならず、自費での治療となる。費用はおよそ100万円程度かかるが、入院期間数日であり、導入する医療機関も徐々に増えている。

ヨーロッパでは既に前立腺癌への保険適応が認められている。アメリカでは治験が行われており、保険適応となる日もそう遠くはないだろう。

他にも、肝臓癌や膵臓癌へのHIFUの適応が可能ではないかと考えられており、現在日本では、それぞれの癌治療に対する治験も行われている。周囲の組織へのダメージを最小限にし、高齢者・手術後や放射線療法後の再発例でも治療可能といわれるHIFU、保険適応拡大に期待したい。
(Medister 2015年2月12日 葛西みゆき)

<参考文献>
厚生労働省 審議資料 ワーキンググループ報告書
前立腺癌治療の最先端―切らずに治す高密度焦点式超音波療法(HIFU)
前立腺癌治療の最先端―切らずに治す高密度焦点式超音波療法(HIFU)

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