新たながん診断法開発に向けた産学官プロジェクトが始動

MiRNA_processing2014年8月18日、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、独立行政法人国立がん研究センター(NCC)、東レ株式会社(東レ)は、最先端の次世代がん診断システム開発に着手したと発表した。このプロジェクトは「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発」といい、2014~2018年度の期間でおよそ79億円をかけて行われる。 研究開発責任者はNCCの分子細胞治療研究分野 分野長の落合孝広氏、委託先にはNCC、東レのほか、共同実施施設として広島大学、九州大学、東京医科大学など8大学や、バイオ関連企業などが名を連ねている。東レが開発した超高感度DNAチップを利用し、NCCや他の大学が持つ膨大な臨床情報やバイオバンクの検体などから構築されるデータベースの解析を行い、新たな診断手法を確立するものである。 そもそもマイクロRNA(miRNA)とは、RNAが酵素などの働きにより切断され、21~25塩基となったsmallRNAの1つである。1993年に発見され、同じsmallRNAファミリーの中でも、siRNAが人工的に作り出すのに対し、miRNAは生体の細胞内にはじめから存在していることが分かってきたこともあり、2000年頃からは各国で様々な分野において盛んに研究が行われている。 その塩基配列から様々な名称がつけられているが、最近になって人の癌細胞は、特定のmiRNAを「エキソソーム」と呼ばれる膜の構造体で包み込んで細胞外へ分泌していることが分かった(分泌型miRNA)。この原理を応用し、人の血液中からこの癌細胞ごとに特定されるmiRNAを検出する、超高感度DNAチップが開発された。例えば脳腫瘍・肺癌・リンパ腫ではmiR-21、乳癌ではmiR-195、肝臓癌ではmiR-500、卵巣癌と前立腺癌ではmiR-141の発現上昇が特異的にみられることが分かっている。1つの癌で複数のmiRNAが発現上昇することもあるが、その組み合わせにより癌の種類が特定できるという。 今回の研究開発は、胃癌、食道癌、肺癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、大腸癌、卵巣癌など13の癌と認知症が対象。疾患の早期発見マーカーの実用化に大きな期待が寄せられている。 (Medister 2014年8月20日 葛西みゆき) 臨床・創薬利用が見えてきたmicroRNA (遺伝子医学MOOK 23号)
臨床・創薬利用が見えてきたmicroRNA (遺伝子医学MOOK 23号)

戦国武将とがん

書評