増える労災認定と職業偏りの可能性 胆管癌増加の原因とは何なのか

631px-Biliary_system_new.svg2014年6月10日、厚生労働省は専門家による検討会を開き、愛知県内の印刷会社に勤務する男性2人(うち1人はすでに死亡)が胆管癌を発症した件に対し、労災に認定することを決めたという。この男性2人は、職場で洗浄剤として使っていた化学物質に長時間・高濃度でさらされたことが原因となり、胆管癌を発症した可能性が極めて高いとしている。 疫学的にみると、胆管癌患者数は増加傾向にあり、死亡者数は昭和50年代には3,000人足らず(罹患者数は8,000人超)であったが、平成 23 年では 13,000人(平成19年には20,000人超)を超えている。年代的には50歳以上での死亡者が90%以上と圧倒的に多く、49歳未満での死亡者は少数であった。 しかしここ数年、49歳未満での罹患、死亡例が増加している。平成25年度にまとめられた厚生労働省の調査結果によると、校正印刷業務で洗浄剤として多量に使用されていた 1,2-ジクロロプロパンと、胆管癌発症についての関係のさらなる調査が必要であるとされているが、労災対象となる疾患に「1.2-ジクロロプロパンにさらされる胆管癌」が追加されていることからも、厚生労働省はこの因果関係を認めているといえよう。 しかしその一方で、日本肝胆膵外科学会は全国の50歳未満の患者の背景を調査し、その結果として「印刷業など有機溶剤を扱う職業に偏って多発する傾向はみられなかった」としている。調査を担当した吉田寛・東北大講師(消化器外科)によると「有機溶剤の暴露による発癌割合が高いわけではないが、一定数はいるようだ」と推測されている。 一体、胆管癌発症の原因とは何なのであろうか。厚生労働省は印刷業との関連を認め、労災を認定している。一方で学会調査では「有機溶剤を扱う職業に偏ってはいない」という。いずれにしても、ここ数十年での患者数や死亡者数の増加、発症年齢の低年齢化の背景には、何かしらの要因があるように思えてならない。今後も詳細な検討がなされることを期待する。 (Medister 2014年6月16日 葛西みゆき) 胆道がんの治療とケアガイド
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