父親が被爆して早く生まれた子ほど白血病リスクが高い 長崎における研究結果より

2014年6月1日、長崎市で行われた原子爆弾後障害研究会において、鎌田七男・広島大名誉教授(血液内科学)らの研究グループが「父親が被爆後に早く生まれた子ほど白血病となるリスクが高い」という研究成果について報告した。この研究では、1945年の広島・長崎への原爆投下後、15年後までに生まれた、父親が被爆者である白血病患者とその兄弟たち(計149人)についての調査をおこなった結果、親の被爆から生誕までの日数が短いほど、白血病発症リスクが高かったことが分かったという。これまでの多くの研究により、原爆の遺伝的影響については否定的であるとされていたが、今回のように遺伝的影響の可能性を示したものは、極めて稀であり、注目を浴びている。 原爆被爆による白血病発症リスクについては、1950年代ころから様々な研究が行われている。ある調査では、原爆投下後翌日に入市した被爆者に、白血病発症率が高いことが分かっている。これは、原子爆弾の投下や核実験後に、環境中に放出された放射性物質が地上に降下してくる「フォールアウト」とよばれる現象も関係していると推測されるが、原爆による影響としては放射性物質の外部被爆によるものが大きかったとされている。 原爆投下による癌死亡リスクとしては白血病が1位であるが、では福島第一原発事故ではどうだろうか。福島第一原発事故やチェルノブイリの原発事故では、甲状腺癌が問題となっている。原発事故の場合、多くは内部被爆による影響が大きいと推測されており、大気中に大量に放出された放射性ヨウ素を吸い込み、あるいは食品に付着したものを摂取することで、それが甲状腺に取り込まれて甲状腺癌を発症すると考えられている。ここが大きな違いともいえるが、しかし原発事故による影響としての白血病発症リスクが無くなるわけではない。今のところ甲状腺癌発症リスクが高くみえているだけではないだろうか。福島第一原発事故の影響が終息する日が来ることを切に願う。 (Medister 2014年6月2日 葛西みゆき) 放射線の遺伝影響 (ポピュラー・サイエンス287)
放射線の遺伝影響 (ポピュラー・サイエンス287)

戦国武将とがん

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