アスピリンが大腸癌再発予防のカギとなるか 多施設二重盲検試験結果より

独立行政法人国立がん研究センターおよび京都府立医科大学をはじめとする、全19施設の多施設共同研究グループによる「薬剤による大腸がん予防につながる臨床試験」が行われ、その成果が2014年1月31日、国際・消化器病関連ジャーナル誌「GUT」のオンライン版に掲載された。 化学物質を使用した癌予防については、アメリカでは乳癌予防に対する薬剤がいくつか承認されているが、日本ではその研究は進んでいない。今後は、従来からの診断や治療に関する研究開発のみならず、いわゆる未病状態からの先制医療の確立が、ますます重要な課題となっている。このような状況の中、今回の研究は解熱鎮痛薬や抗血小板薬として長年使用されているアスピリンに注目して行われた。ヨーロッパ諸国や米国においてはアスピリンによる大腸癌抑制効果が報告されているが、これまでアジア人におけるエビデンスはほとんど見られなかった。 この研究は、大腸ポリープ(腺腫)を内視鏡的に摘除した患者311名に対する臨床試験として、低用量アスピリン(100mg/日)群152名、プラセボ群159名に無作為割付を行い二重盲検試験を行った。結果として、プラセボ群と比較すると、大腸ポリープ再発リスクが4割減少し、非喫煙者に限ると6割以上減少するが、喫煙者では効果が見られなかった。これはすでに欧米で報告されているが、日本人の大腸癌の再発抑制につながることが分かったのは今回初めて。アスピリンは出血等の重大な副作用が懸念されるが、本研究中には確認されていない。 今回の研究は、既に安全性が確立している廉価な既存薬によるドラッグ・リポジショニングがポインとであり、今後はアスピリンの服用による大腸癌再発予防や、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などの予防にも期待が出来る。一方で国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 医長 松田尚久氏は「アスピリンの内服だけで大腸癌を完全に予防・治療できるものではないため、自己判断での服用は避けること」とコメントしている。 (Medister 2014年2月18日 葛西みゆき) 大腸癌取扱い規約(第8版)
大腸癌取扱い規約(第8版)

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