食道癌と多臓器癌

今回は食道癌と多臓器癌の関係性について紹介したいと思う。この問題について論文で発表したのは久留米大学医学部の的野吾 氏を始めとする10名の外科学研究チームだ。予てより食道癌と多臓器癌の重複は問題となっており、的野氏らは久留米大学病院に食道癌ならびに多臓器癌で入院した患者のデータ(癌併発部位、生存率、併発率)を統計的にまとめ発表したというものだ。 主に食道癌発症者に転移が見られた部位は頭頚部腫瘍が最も多く、併発者の40%もの人が頭頚部腫瘍を併発していた。次に多かったのが胃癌、そして肺癌、大腸癌をも併発させるという。何より食道という器官は消化器系の一つで胃や腸に繋がっており食道の直ぐとなりには肺へ繋がる気管があるので先ほど述べた各臓器への癌転移というものは納得の行く面もある。 また重複癌の頻度を10年単位で見ていくと前半の10年と後半の10年で頭頚部腫瘍のみ増加するという結果が得られた。他の癌については同レベルまたは減少するという報告がなされており、なぜ頭頚部腫瘍が増加するのかといったことは後の研究者への課題となっているようだ。食道癌から先行し多臓器癌を発症させるものと、他臓器癌から食道癌を発症させるものの2種類のパターンがあり、それぞれまた重複癌の発生頻度が異なる。多臓器癌先行で食道癌を併発するのは平均4.4年で死亡までは6.4年という年数であるが食道癌発症時には前癌のコントロールが出来ているため食道癌のほうは積極的に治療されていた。食道癌先行で多臓器癌を併発するのは平均4.7年と前述のと大差はないが死亡年数は1.9年と極端に短い。後者のほうがなぜ死亡年数が短いのかはこれもまた後世の研究者への課題となるだろう。 食道癌という病気が実は恐ろしく拡散されやすいものということを知っていただきたい。(Medister 2013,06,04 桐生賢汰)

食道癌診療マニュアル―消化器外科・内科医のための食道癌診療マニュアル―消化器外科・内科医のための
河野 辰幸,三宅 智

診断と治療社
売り上げランキング : 735281

Amazonで詳しく見る

戦国武将とがん

書評