乳ガン根治への兆し発見か

近年、日本人の死因として大多数の割合を占めているのが「がん」である。がんの完治には早期発見が第一で、がんが進行した状態で発見されると人命に大きな危害を加えるということは医療関係者以外にも知られていることである。医療が発展した21世紀でもがんは不治の病であることは変わりないのだ。

がんが発生する原因としてがん遺伝子であるhstやH-rasなどが有名であろう。このがん遺伝子が元となり正常細胞はがん化するのだが、現在のがん治療ではがん細胞化してしまった細胞だけに薬を与えることや放射線を投射することは出来ない。

しかし、このところ東京大学医科学研究所の後藤典子氏らが発表した論文に上記の問題を解決する突破口が紹介されていた。それはがん細胞は人体内でどのような状況で棲みついているかということだ。後藤氏らは乳がん細胞で実験を行い培養皿内にがん細胞がスフィアと呼ばれる球状浮遊細胞塊で存在するという結論に至ったのだ。

乳がん摘出検体より同条件下を調べたところ、細胞膜のEGFレセプターファミリーのErbB53レセプターにリガンドとしてHRGが付着しスフィアを形成するというものだ。このHRGがErbB53に付着すると生化学レベルで様々なことが起こる。細胞内リン酸化酵素であるAktやPI3-kinaseが活性化され、NF-kBを活性化させスフィアを形成する。またNF-kBはケモカインやインターロイキン、血管新生因子を産生しこれらは細胞外においてがん細胞を取り巻く環境を整え棲みつきやすい環境にしてしまうと言うことも分かった。

今回、後藤氏らが発見したErbB53-NFkBの経路は問題提起したことへの答えになるのではないだろうか。がんが根治することが出来ればがんは不治の病とは呼ばれなくなるだろう。またNFkBにより産生されるケモカインやインターロイキン、血管新生因子などは血管中に放出されるので血液検査においてがんの早期発見へと繋がるのではないだろうか。(Medister 桐生賢汰 2013年4月17日)



戦国武将とがん

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