【パキスタン】低い乳がん検査の背景

乳がんに対する理解度を高める啓蒙活動は、今や世界的に広まっている。インドの隣、南アジアのパキスタンでは乳がんは女性が最も発症しやすい癌として知られている。欧米に比べると比較的若い頃に発見され、近年までは手遅れとなる段階まで発見されることは中々なかった。そのためパキスタンに暮らす多くの女性は早期発見のための具体的な方法、予防策を学ぶ機会を求めており、政府・教育機関などはこれらの要望に応えるための環境づくりを構築しようと努めている。アメリカ・ボストンにあるBrigham and Women’s Hospitalとパキスタン・カラチのIndus Hospitalが連携して200人程のパキスタン女性に対してアンケート調査を行ったところ、彼女たちの関心度は非常に高いことがわかったが、実際乳がんの検査を受けたことがある人は全体の2割にも満たないことが判明した。乳がんの危険性を理解はしているが、受診まで踏み切れないというのが実状らしい。また乳がんの専門家が不足しているというのも深刻な問題だ。都会と地方の貧富の差は大きく、病院・診療所へのアクセスも地方出身の人には困難なところがある。また既存の専門家が乳がんに対する取り組みに消極的であることも懸念事項の一つだ。上に挙げた2ヶ所の病院が今度は医師100人(男49人、女51人)に対してインタビューしたところ、男性医師で乳がん検査を行う人はわずか24%に留まり、女性医師の98%と比較すると非常に低いことがわかった。このような結果にはパキスタン特有の社会的要因が関係していると思われるが、癌の早期発見のためにはこのような障壁を取り除く必要がある。ポジティブな面を挙げるとすれば、年々パキスタンの放射線治療が発達しているという点だ。今後は必要な人材をさらに増やし、適切な場所に配置しなければならない。産官学が一体となり、乳がん対策に取り組む必要がある。(Medister Taro 2013年2月12日)

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患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2012年版日本乳癌学会

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