食道がん術前・術後の100日レシピ 回復までの食事プラン

『食道がん術前・術後の100日レシピ 回復までの食事プラン』書評

著者:外村修一/医療解説 松原弘樹/栄養指導 小菅陽子/レシピ、料理作成
出版社:女子栄養大学出版部
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食道がんの手術では、多くの場合、のど側の部分を5cm残して食道を全て切除し、胃や大腸につなげるという方法を採用します。このため、手術後には食べ物の取り込み方が根本的に変わります。食べ物を消化する胃の機能も大きく低下するので、今まで通りの食事というわけにはいきません。手術後はもちろんですが、手術前にも心がけておきたいことをまとめたのが本書です。

食道がんの食事管理は手術前から始まる


一般的ながんでは、手術後から食事管理が始まります。しかし食道がんは、手術前から食事管理が始まります。

食道にがんができると食道が狭くなり、食べ物が通りにくくなります。すると、体重が減るなど、栄養状態が悪くなり、手術に関連する合併症が起きやすくなります。食道がんの手術後は、手術前よりもはるかに食べにくくなるため、手術前にしっかりと栄養と体力を蓄えておくことが大切になるのです。

手術前で、食べ物を普通に飲み込めるかどうかは、人によって大きく変わります。本書では、普通に食べられる人と、飲み込みにくい人とに分けて、それぞれに合った料理が紹介されています。前者は、普通のごはんもあるメニューですが、後者はお粥やフレンチトーストなど、柔らかくて飲み込みやすいメニューとなっています。さらに、ストックできる煮野菜など、おかずが豊富に紹介されているので、飽きる心配はありません。

食道がんでは、食べ物が気管に入ってしまう「誤嚥」にも、注意が必要です。飲み物や汁物など、さらさらとした料理ほど誤嚥しやすくなります。本書では、片栗粉や寒天、ゼラチン、とろみ調味料を使って、とろみをつけて誤嚥を予防するコツが紹介されています。また、野菜のポタージュなど、とろみがついた料理のレシピもあります。

小さくなった胃の機能を口で補う


手術が終わった後で食事に気を付けることは、「よく噛むこと」です。手術後には、胃が小さくなっており、十二指腸に押し出す力も弱まっています。「口で胃の機能を補う」くらいの考え方で、よく噛み、少しずつ食べ、食べ物が胃に入ったことがわかったら次の一口、くらいのペースを心がけてほしいということです。1回の食事で食べられる量は大きく減るので、1日5食や6食など、回数を増やすのも大切です。

本書は、退院1~2週間と、そこから3か月までの2つの期間に分けて、食事で気を付けること、おすすめのレシピを紹介しています。最初の2週間は、おかゆ、ホットケーキ、うどんやそばなど、柔らかくした料理が多いですが、それが過ぎれば普通のごはんも食べられるようになり、ササミのソテーやポークビーンズなど、食べられるもののレパートリーも広がります。いろんなものを食べたいという理由で療養生活を送るのもよさそうです。

ただ、人によって回復のスピードが違うため、1か月たってもうまく食べられないという人はいるでしょう。そのときには、無理に次のステージの料理に手を出すのではなく、自分の食べやすいものを自分のペースで食べるのがよいとしています。

本書は、100日をひとつの区切りとしていますが、実際には手術の100日後から本格的な回復が始まるとのことです。半年から1年くらいたつと、カレーやラーメンなども食べられるようになったという事例もありますが、やはり個人差があるので、焦らずに自分のペースを保つという精神的な安定も大切になってきそうです。

食道がんの手術では、がんを切除するだけでなく、消化器官を完全に作り替えます。「元に戻ることはありません。生まれ変わると思ってください」と、本書でも述べられています。このように、食事に対する考え方も書かれていますので、手術前からの心構えとして読んでおきたい一冊です。

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