抗がん剤治療中の生活ケアBOOK

『抗がん剤治療中の生活ケアBOOK』書評

監修:中川靖章
出版社:実業之日本社
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抗がん剤治療は、今では入院しなくても通院で行うことができるようになりました。しかし、ほとんどの人が何らかの副作用を経験するため、始める前には不安に思う人が多く、すでに治療中の人は副作用に悩んでいるのかもしれません。抗がん剤治療にはどのような副作用があり、どう対処すればよいのか、症状別にコンパクトにまとめたのが本書です。

副作用を20の症状に分けて紹介


がんが進行して他の部位に転位している可能性があるときには、手術や放射線治療という局所療法と合わせて、血液を介して全身にアプローチする化学療法を行います。化学療法の一つが抗がん剤治療です。

抗がん剤は、増殖能力が高いがん細胞を主なターゲットとして攻撃しますが、どうしても普通の細胞にも影響を与えてしまいます。特に、細胞分裂が盛んな皮膚や消化器官などで悪影響が表れやすくなります。これが抗がん剤による副作用です。抗がん剤の副作用として「髪が抜ける」という印象が強くありますが、これは毛髪を作る細胞がダメージを受けるためです。他にも「気持ち悪い」「手足がしびれる」「体の節々が痛い」など、個人差はありますがさまざまな副作用があります。

本書では、抗がん剤治療で表れる副作用を20の症状に分けて紹介しています。各症状について、原因、治療でできること、そして患者さん自身で対処できることが2ページにまとめられています。これは、副作用には何があり、なぜ起きるのか、対処法には何があるのか、事前に把握しておくことで、副作用を予防したり症状を和らげたりすることができるためです。本書を監修した日本赤十字社医療センターの中川靖章先生はまえがきで「患者さんにできるだけ化学療法の副作用やセルフケアの方法を理解してもらいたい」「つらい思いを一人で抱え込まずに、QOL(生活の質)を高めながら闘病意欲を維持してもらいたい」と述べています。

日常でできるケア


副作用を抑える方法があるなら、日頃から行っておくに越したことはありません。本書に書かれているものの中から、ここでは「口の中のケア」について紹介します。実は、口の中のケア(口腔ケア)は「抗がん剤治療中に意外と大切」と書かれているのです。口の中の細胞は抗がん剤の影響を受けやすく、口腔粘膜炎、口の中の乾燥、味覚障害など、患者さんの約半数が何らかのトラブルを経験するそうです。

口の中のトラブルはQOLに影響します。口腔粘膜炎で痛みがひどくなれば、食事を十分にとることが難しくなったり、会話することすら不快になったりします。また、味覚障害になれば食事を楽しむことができません。栄養状態が悪化したり、メンタル的に落ち込んだりもしてしまいます。そうなれば、がん治療そのものにも影響が表れます。

そこで、日常的にできる口腔ケアが紹介されています。口の中に異常がないか確認するためのチェックポイント、歯みがきやうがいのコツなどが書かれています。また、抗がん剤治療の前に歯医者に行き、治療を済ませておくのが理想的であるとも述べています。

他にも、食事の方法、スキンケア、脱毛ケアなどが紹介されています。抗がん剤治療を受ける前に一通り読んでおくと、治療前からできること、治療中に気を付けるべきことがわかるようになっています。

5人の体験談を参考に


本書の最後には、抗がん剤治療を受けた5人の体験談が紹介されています。自分なりのウィッグ選びの方法を見つけた人、痺れや痛みと向き合った人、そして周囲の人とのコミュニケーションを積極的にとった人など、それぞれの人の副作用と対処法が述べられています。

もちろん、副作用の種類や程度は人それぞれなので、これらの体験談がそのまま活用できるとは限りません。しかし、先輩たちの体験を知り、心構えとしておくことは無駄ではありません。抗がん剤治療を受ける前、そして受けているときの参考書になることでしょう。

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