子宮・卵巣がん手術後の100日レシピ

『子宮・卵巣がん手術後の100日レシピ』書評

著者:加藤友康/医療解説 桑原節子/栄養指導 岩崎啓子/レシピ、料理作成
出版社:女子栄養大学出版部
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子宮と卵巣は、消化と直接関係ない部位であるため、がんの手術で退院するころには特別な食事制限はないと言われています。とはいえ、手術と長い入院生活が終わったばかりのころは、体調がよくなかったり体力が落ちていたりなどして、今までと同じ食事というわけにはいかないでしょう。特に卵巣を摘出したときは、女性ホルモン減少による更年期障害のような症状に悩まされるかもしれません。手術後の新たな生活習慣を身に付けるのがよいのですが、そのためのヒントが詰まっているのが本書です。

腸閉塞に気を付けたレシピ


子宮体がんや子宮頸がん、卵巣がんによって切除手術を受けたときには、切除されたスペースを埋めようとして小腸や大腸の形が変わります。そして、個人差はあるものの、腸と周辺組織との癒着が必ず起こります。癒着によって腸内の食べ物の通り道が狭くなると、人によっては痛みや違和感を覚えることがあります。強い腹痛や嘔吐が続く場合には腸閉塞が疑われ、そのときには専門の治療を受ける必要があります。そのため、特別な食事制限はないものの、消化しにくいものや食物繊維が多すぎるものは控えるなど、食事に気を付けなければならないのです。

がん手術を受けた多くの人が、手術後100日の間に便秘、下痢、食欲不振、嘔吐といったトラブルを経験するそうです。そういったトラブル別の対処法や予防のためのメニューが用意されています。例えば、下痢のときには温かい汁物や飲み物がよいとして、「かぶのすりおろし汁」や「ほうれん草とはるさめスープ」、「ホットレモネード」などがあります。どれも特別な食材や調味料を必要としないので、気分転換も兼ねて作ってみようという気になります。

また、両方の卵巣を摘出したときには、女性ホルモンが低下するために更年期障害のような症状が現れる場合があります。これは、女性ホルモンには血中コレステロールを調整したり、骨粗しょう症を予防したりする役割があるためです。更年期障害のような症状がある場合には、コレステロールの摂りすぎに注意したり、カルシウムを意識して摂取したりといった、食事面で対策を取る必要が出てきます。

本書で紹介されているメニューは、いずれもコレステロールは控えめです。また、カルシウムについては、「シラスとわかめのしょうがじょうゆあえ」や「チーズ入りじゃが芋のチヂミ」など、7品目がピックアップされています。もちろん、退院後を想定したやさしい味付けが基本ですが、食欲をかきたてる柑橘系の香りを活かしたレシピもあるので、体調によって選ぶことができます。

家族のためにも食生活を振り返る


子宮頸がんは30代前半、子宮体がんと卵巣がんは50代前半で最も見つかりやすいとされています。この頃の年代の女性の中には、結婚して子どもがいるという人もいるでしょう。家族全員分の夕食を作ろうとなると、かなりの労力を必要とします。退院直後であればなおさら大変です。

本書では、そういった状況も想定して、30分で作る夕食の献立も紹介されています。どの順番で調理すればいいのかというタイムテーブルも書かれているので、普段から料理は得意ではないという人にも取っつきやすい工夫がされています。

そして最も大事なことは、退院を機会に、これまでの食生活を振りかえることではないでしょうか。もちろん、患者さん本人の自己管理のためでもありますが、生活を共にする家族も、がんを予防するような生活に切り替えるためでもあります。これさえ食べていればがんにならないという食材はありませんが、1日3食、栄養バランスのよい食事をとることは、がんだけでなく生活習慣病の予防につながると考えられています。

本書で紹介されている料理は、どれも簡単に作ることができ、飽きのないものです。退院後100日間に限ったものではなく、これからの健康のために取り入れたいレシピ集であると言えるでしょう。

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