大腸がん手術後の100日レシピ

『大腸がん手術後の100日レシピ』書評

著者:森谷冝皓/医療解説 桑原節子/栄養指導 重野佐和子/レシピ、料理作成
出版社:女子栄養大学出版部
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大腸がんの手術が終わり、退院した後の悩み事の一つが食事です。大腸は、消化された食べ物から水分を吸収する大切な消化器官の一つです。その一部を切除したなら、今までどおりの食事というわけにはなかなかいきません。特に、退院直後は体調が変化しやすく、排便トラブルも起きやすくなります。そういったトラブルを予防しつつ、楽しい食生活を送るためのアドバイスが多く掲載されているのが本書です。

最初の2週間で新しい食習慣を身につける

本書では、体調の変化や排便トラブルの起きやすさをもとに、4つのパートに分けています。最初のステップは退院後2週間、次は退院後2~4週間、さらに退院後1~2カ月、そして退院後2~3カ月です。

特に最初の2週間は、退院後の100日間の食生活に慣れるための大切な時期です。本の中では食べ方のポイントをいくつか挙げていますが、ここでは「腹六分目」「食物繊維は控えめに」に注目します。

一般的には、生活習慣病予防のために「腹八分目」がよいと言われていますが、大腸がんの術後は消化機能が弱っています。この状態では、腹八分目の食事量でも食べすぎとなってしまいます。低下した消化機能に見合った量として、1日1200kcalが目安になるそうです。それが腹六分目に相当する量です。

腹六分目の食事は、どうしても栄養素が不足しがちですが、そこは2回の間食で補うようにします。本書では、すべてのステップにおいて、1日3食と2回の間食をセットとして献立を紹介しています。

また、大腸がんの術後では食べ物を消化のよい状態に、やわらかく加熱調理することが基本です。ところが、食物繊維はやわらかく加熱調理しても消化・吸収されにくく、腸閉塞の原因になります。これが、「食物繊維は控えめに」とする理由です。

食物繊維を多く含む食品は、海藻、きのこ、根菜です。これらは、退院後1カ月は控えたほうがよいとのことです。退院から1カ月が過ぎて体調がよくなってからも、根菜は繊維を断ち切るような切り方をして、消化器官に負担をかけないようにすることが必要です。

時期が変わればアドバイスも変わる

退院から2週間を過ぎると、排便トラブルに悩まされる時期に入ります。下痢や頻便になる人もいれば、便秘やお腹のはりが気になる人もいます。下痢のときは1回の食事量を少なくして回数を増やす、便秘のときはバナナやリンゴを食べるなど、それぞれのトラブルごとの対策が紹介されています。こういったトラブルがあるかもしれないと事前に知っておけば、トラブルになってもすぐに対策がとれますし、気持ちにも余裕が生まれます。

退院から1カ月を過ぎると、食べられる種類が少しずつ増えてきますが、食べ過ぎは禁物です。食物繊維の多い根菜もレシピに入ってきますが、調理のコツも紹介されています。アドバイスを参考にすれば、楽しい食生活になるでしょう。

退院後2カ月となると社会復帰する方も多いのですが、お弁当用のレシピもあるので勤務中の食事にも困らずに済むでしょう。100日目には、お祝い膳として中華料理が紹介されています。これをゴールにがんばれそうです。

経験をもとにしたレシピ

レシピと料理作成は、料理研究家の重野佐和子さんです。実は重野さんも大腸がん手術を受けたことがあり、当時も退院後の食事をどうすればいいのか悩まれたとのことです。経験者だからこそ気になったこと、役立ったことなどが本書には反映されています。大腸がん手術後の食事を考えるうえで心強い一冊になるでしょう。

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