患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン(第2版)

『患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン(第2版)』書評

編集: 日本婦人科腫瘍学会
発行所: 金原出版株式会社
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本書は2010年に刊行されたガイドラインを改訂し、2016年に刊行された最新の治療ガイドラインです。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、各がんに共通の項目、という4つのパートに分かれており、全252ページというボリュームの多さが特徴です。この種類のがん特有の不安である「妊娠はできるか」についても寄り添う内容となっています。

それぞれの治療方針を丁寧に分類して紹介

子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんは、発生する場所が子宮またはその付近という共通点があるのですが、がんの性質は全く異なるため、治療方針が同じになるとは限りません。それどころか、どのがんもステージ(がんの進行度)によって治療法が大きく異なります。患者さんにとっては、そもそも子宮頸部と子宮体部はどう違うのか、そして治療法には何があり、どう違うのか、想像しにくいのが実情です。

本書では、ステージ分類の基準や治療方針については表で、手術方式についてはイラストで丁寧に、かつわかりやすく紹介しています。例えば、子宮頸がんではIA期、IB期、II期、子宮体がんでは術前I期、術前II期(子宮体がんでは手術後の所見でステージを正式に決定するため、手術前では他の検査をもとにした推定ステージとして「術前X期」と表現します)の治療方針として、一般によく言われる子宮摘出手術があります。しかし子宮摘出手術と一言にいっても、実際には単純子宮全摘出術、準広汎子宮全摘出術、広汎子宮全摘出術の3種類があり、ステージやリンパ節などへの転移の有無からどの術式にするか判断されます。

がんの治療は、手術だけで終わりではありません。手術後も放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)を実施する場合があります。これらの副作用や、副作用が生じたときの対応についても細かく記載されています。再発についても具体例を述べながら紹介しているので、どのような可能性があり、その場合にどのように治療を受ければいいのか、可能な限り不安を取り除く内容の流れとなっています。

妊娠の可能性を残せる手術のために大事なこと

子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんに特有の問題として、「妊娠はできるか」があります。本書では、悪性度が低い、浸潤が見られないなど、いくつかの条件を満たした上で、子宮や卵巣を温存する手術法などがあることを紹介しています。しかしながら、中途半端な治療は再発の可能性を高めるだけです。

本書では卵巣がんのパートで、「妊娠の可能性を残せる手術のために大事なこと」として、『卵巣がん治療ガイドライン』(2015年版)を引用して次のように示しています(文中にある「妊孕性」とは、妊娠できる可能性を指す言葉です)。

(1)患者さん本人が妊娠への強い希望をもち、妊娠可能な年齢であること
(2)患者さんとご家族が、卵巣がんや妊孕性温存療法、再発の可能性について十分理解していること
(3)治療後の長期にわたる厳重な経過観察について同意していること
(4)婦人科腫瘍に精通した婦人科医における注意深い腹腔内検索が可能であること
そのほかにも以下のような点に注意が必要です。
(5)婦人科腫瘍に精通した病理専門医による診断が可能であること

これらは卵巣がんだけでなく、子宮頸がん、子宮体がんにも当てはまることです。妊娠は本人だけでなく、パートナーにも関わることです。治療を受けるときは、医師だけでなくパートナーともよく話し合い、全員が納得することが大切でしょう。

最新の話題もフォロー

本書は2016年に刊行されたばかりで、最新の話題にも触れています。例えば、卵巣がんのパートでは、2013年にハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが受けた遺伝学的検査にも触れています。アンジェリーナ・ジョリーさんは同年に乳房を切除、翌年には卵巣を摘出しました。それらのきっかけとなった遺伝性がんの特徴や検査も紹介しています。

本書は252ページありますが、目次や索引から自分の知りたいところから読むというスタイルです。患者さん本人はもちろんのこと、パートナーにも必読の一冊です。

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